「無機質な線なのに表情豊かでキュート」
「お行儀の悪さを楽しむ上品」
「清潔なコケティッシュ」
「誰にも教えてあげないふたりだけの秘密」
イラストを見てそんな言葉が思い浮かんだ。イラストレーター<さやか>の持つ、大人になりきっちゃう寸前の危うさの中の「きれいな部分」が、凝縮されているのだと感じた。
四十八手の体位を取る女の子達の表情はとても楽しそうだ。無知な無邪気さでセックスを笑っているのではなく、心からメイクラブを楽しんでいる。触れている相手がちゃんと感じているのか確かめたくて、大きな瞳を見開いて見つめ合ったり、ふわりと紅を乗せた唇で囁き合ったりする。かと思うと、抱き締められてる真っ最中にきれいな蝶々に心を奪われたりもするし、よそ見をしてしまう女の子に、一層愛しげに身を添わせたりもする。
<さやか>のデザインした絵本や詩集のような可愛らしさの本に、そんな恋の愛しさの光景が四十八、閉じ込められている。世界中に無数にいる恋人達が幾度も繰り返す光景の瞬間を、四十八手という少しどきっとするテーマで捕えた、とても美しい本だと思った。
男の子がこの本を参考書にしてくれたら、女の子はとても幸せな気持ちになれるんじゃないかな。
（追加）
一冊の本に納められるにしてはイラストと文章の世界観が違い過ぎるような気がして、劇作家＜三浦有為子＞に興味を持った。ご本人ブログを拝読したところ、タイトルを『恋の四十八【手】』と間違えていたという記述があった。微笑ましい言い間違いと書き間違いについての記述であったのだけど、読了後の違和感の原因が判ったように思えた。
最初から「四十八手」の文章が添えられているのだと割り切って読み解けば、それはそれで面白い。
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