誤字誤植はすごく多いですし、日本語表現や図表現はいろいろと問題があります。
しかし、翻訳ものも含めて日本語で書かれたコンピュータの歴史書で、
技術的な背景や初期の計算機の仕組み自体にこれほど丁寧にかつ明確に触れた
本を他には知りません。
ENIACの動作原理を知ろうと思っても情報が得られずにイライラしたこと
がある人、バベッジがなぜ解析機関を思いつくに至ったかに興味がある人、
ABCマシンが世界最初の計算機だという米司法判断に違和感を感じるがその
理由が明確にはわからない人、ノイマンの計算機に対する貢献の本質について
理解したい人に、うってつけの本です。
この本の価値を不当に低く評価している人がいますが、あまりに読みにくい
記述のために、内容がよく理解できないのか、もしくは最初からこの本を理解
するだけの知性をお持ちではないのだと思います。
技術的や数学的に嘘ばかり書き散らしている星野氏の計算機の歴史本とは
比較にならない価値がある本です。著者が学者であったかどうかなんて本の
価値とはまったく関係ありません。多くの計算機系の自称学者よりもこの著者
の方が圧倒的に知性や洞察力が高いと思います。
日本語の計算機歴史本の定番になるべき本だと思います。
できれば、表現力のあるライターやイラストレーターが書き直したらいいん
じゃないかと思います。
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コンピュータの発明 単行本 – 2003/12/6
「日経バイト」2004年2月号 BOOKSHELF欄
誰しも一度は耳にしたことのある「ABC」や「ENIAC」といった歴史的コンピュータ。本書はそれらの背景や相互に与えた影響を、アーキテクチャの図解と数式を交えながら説く。「IBM5550」などの開発に携わった筆者はその経験を生かし、合理性を判断基準にコンピュータ史をつむぎ直している。
米連邦地裁から世界初のコンピュータとのお墨付きを得たABCを「機械式に近い特殊な計算機」とし、改めてENIACを技術的観点から最初のコンピュータと位置付け直す過程はスリリングでさえある。(許可を得て転載)
「日刊工業新聞」2003年12月9日 技術科学図書欄
「誰がコンピュータを発明したのか?」この単純な疑問に対する回答が本書である。17世紀のシッカード、パスカル、ライプニッから 1951年のUNIVAC迄の主要計算機を全て網羅し、アーキテクチャーとエンジニアリング・ファクトを中心に計算機思想の流れを解説した力作。資料として発明者本人の論文を使用した日本では珍しい国際基準のコンピュータ史。写真、図解が豊富で、内容理解を助けてくれている。
19世紀初頭の英国人バベッジによるプログラム制御方式の発明過程の解説は秀逸。ENIACのアーキテクチャーがパンチカード システムのチェイン結合と指摘。そのプログラミング方法の図解は新鮮。ムーア・スクール・レクチャーは今まで日本には伝えられていなかった。ケンブリッジ大学でのOS誕生の経緯は計算機思考の大転換を促した興味深い内容。(許可を得て転載)
誰しも一度は耳にしたことのある「ABC」や「ENIAC」といった歴史的コンピュータ。本書はそれらの背景や相互に与えた影響を、アーキテクチャの図解と数式を交えながら説く。「IBM5550」などの開発に携わった筆者はその経験を生かし、合理性を判断基準にコンピュータ史をつむぎ直している。
米連邦地裁から世界初のコンピュータとのお墨付きを得たABCを「機械式に近い特殊な計算機」とし、改めてENIACを技術的観点から最初のコンピュータと位置付け直す過程はスリリングでさえある。(許可を得て転載)
「日刊工業新聞」2003年12月9日 技術科学図書欄
「誰がコンピュータを発明したのか?」この単純な疑問に対する回答が本書である。17世紀のシッカード、パスカル、ライプニッから 1951年のUNIVAC迄の主要計算機を全て網羅し、アーキテクチャーとエンジニアリング・ファクトを中心に計算機思想の流れを解説した力作。資料として発明者本人の論文を使用した日本では珍しい国際基準のコンピュータ史。写真、図解が豊富で、内容理解を助けてくれている。
19世紀初頭の英国人バベッジによるプログラム制御方式の発明過程の解説は秀逸。ENIACのアーキテクチャーがパンチカード システムのチェイン結合と指摘。そのプログラミング方法の図解は新鮮。ムーア・スクール・レクチャーは今まで日本には伝えられていなかった。ケンブリッジ大学でのOS誕生の経緯は計算機思考の大転換を促した興味深い内容。(許可を得て転載)
- 本の長さ360ページ
- 言語日本語
- 出版社テクノレヴュー
- 発売日2003/12/6
- ISBN-104902403005
- ISBN-13978-4902403008
商品の説明
メディア掲載レビューほか
コンピュータの発明
誰しも一度は耳にしたことのある「ABC」や「ENIAC」といった歴史的コンピュータ。本書はそれらの背景や相互に与えた影響を,アーキテクチャの図解と数式を交えながら解く。「IBM 5550」などの開発に携わった筆者はその経験を生かし,合理性を判断基準にコンピュータ史をつむぎ直している。米連邦地裁から世界初のコンピュータとのお墨付きを得たABCを「機械式に近い特殊な計算機」とし,改めてENIACを技術的観点から最初のコンピュータと位置付け直す過程はスリリングでさえある。
誰しも一度は耳にしたことのある「ABC」や「ENIAC」といった歴史的コンピュータ。本書はそれらの背景や相互に与えた影響を,アーキテクチャの図解と数式を交えながら解く。「IBM 5550」などの開発に携わった筆者はその経験を生かし,合理性を判断基準にコンピュータ史をつむぎ直している。米連邦地裁から世界初のコンピュータとのお墨付きを得たABCを「機械式に近い特殊な計算機」とし,改めてENIACを技術的観点から最初のコンピュータと位置付け直す過程はスリリングでさえある。
(日経バイト 2004/02/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
著者からのコメント
テクノロジーの進展が著しく、四半世紀前の1980年代初頭のパソコンの仕様が信じられないほど「おもちゃ」のように見え、半世紀前のENIAC, Manchester Mark 1, EDSACなど,はいうに及ばず、 UNIVACの名前すら全く知らない世代が大半となっている現在、彼らにコンピュータの起源を正しく伝えたいという希望が本書執筆の最大の動機であった。
執筆を進めてゆくうちに、取り留めの無い滑稽な記憶が走馬灯のように思い出され、夜中に一人で苦笑していたものである。本書の潜在的執筆動機のひとつに、これら筆者が若年の頃に抱いた実に素朴で無知な疑問・誤解に対する「自らへの回答の試み」があったようにも思っている。と同時に、筆者と同世代、あるいは先輩世代の方々で、筆者と同様な疑問を持ってこの半世紀過ごされてきた方々もおられることと思い、それらの方々への回答でもあることを願っている。
若干難解ではなかったかといった思いと、先人の業績を国際基準で正しく伝えるためには止むを得ないのではないかとの思いが交差している。どの程度ご理解頂けるように解説できたのか不安が残るが、エンジニアリング・ファクトの提供を中心にまとめたつもりである。不備、誤解、誤りなどは読者諸兄姉氏のご叱正を待ち、国際基準でのコンピュータ史の確立に寄与したいものと願っている。
執筆を進めてゆくうちに、取り留めの無い滑稽な記憶が走馬灯のように思い出され、夜中に一人で苦笑していたものである。本書の潜在的執筆動機のひとつに、これら筆者が若年の頃に抱いた実に素朴で無知な疑問・誤解に対する「自らへの回答の試み」があったようにも思っている。と同時に、筆者と同世代、あるいは先輩世代の方々で、筆者と同様な疑問を持ってこの半世紀過ごされてきた方々もおられることと思い、それらの方々への回答でもあることを願っている。
若干難解ではなかったかといった思いと、先人の業績を国際基準で正しく伝えるためには止むを得ないのではないかとの思いが交差している。どの程度ご理解頂けるように解説できたのか不安が残るが、エンジニアリング・ファクトの提供を中心にまとめたつもりである。不備、誤解、誤りなどは読者諸兄姉氏のご叱正を待ち、国際基準でのコンピュータ史の確立に寄与したいものと願っている。
出版社からのコメント
広く学生の皆様にも読んでもらいたいとの筆者の強い希望で、内容・ページ数に比して低価格でのご提供です。
内容レベルが高度ですので、腰をすえて読まれることが必要と判断しています。
内容レベルが高度ですので、腰をすえて読まれることが必要と判断しています。
内容(「MARC」データベースより)
誰がコンピュータを発明したのか? 世界初の電子計算機ENIACでさえそのエンジニアリング・ファクトは無視され、ジャーナリスティックな逸話ばかりがひとり歩きしている。そんな間違いだらけのコンピュータ史を書換える。
抜粋
"はじめに”より抜粋
1.1 コンピュータ史の現状
[現代コンピュータの基本要素]
21世紀がまさに始まったところの現在、コンピュータはインターネット接続の道具、ワードプロセッサー、表計算等々で使用されているのみならず、携帯電話、ゲーム機、デジカメ、家電、産業機器、金融機器などありとあらゆる機器で使用されている。なぜこれほど広範に使用されるに到ったのであろうか? もちろん物理的には驚異的な発展を遂げた半導体集積技術による微小化を除いては考えられないことではあるが、理論的には様々な制御を可能にした「プログラム」と「高速性」が最大の要因であると考えられる。
コンピュータは演算・制御・記憶を取り扱う機械であるが、それ自体をプログラムで制御するという「プログラム制御方式」の存在を除いては、現在の広範な適用は考えられない。と同時に、「高速性」は各種機器の動作時間より桁違いに速く、機器の動作をリアル・タイムで制御することを可能にし、広範な分野への適用を可能にしているからである。
コンピュータという複雑な機械を設計構成する上で「プログラム制御」という方式が大きな位置を占めていることは論を待たないが、「高速性」の実現も設計上の大きな位置を占めているのである。というのは、素材技術の高速性が必ずしもコンピュータというシステム全体の高速性を保証するものではないからである。システムの性能はシステムを構成する全ての部分の性能の集積であり、一部でも低速技術が用いられていると、システム全体の性能はその低速部分の性能と同じになってしまうからである。
したがって「プログラム制御」と「高速性」は今日のコンピュータ隆盛に不可分の要素であり、重層的に絡み合っているのである。
[アーキテクチャー視点の必要性]
これらの要素が今日のコンピュータの形態に統合されるまでには、多くの先人たちの努力が注がれ、様々な試みがなされ、したがって、数多くの「世界初」の評価が存在し、その軌跡は一見「てんでんばらばら」の感が否めず、後世の人間にとっては甚だわかりの悪いものとなっているのである。
たとえば、世界初の電子計算機として名高いENIACに関しては夥しい数の記述がなされ、真空管の総使用本数だとか、設置面積だとかの記述は繰返しなされているが、「ENIACのプログラムをどのように作成するのか」といった基本的な問題の解説を見つけることはほとんどないのである。「プログラムを作成すること」はとりも直さず、このコンピュータのアーキテクチャー(方式)を知ることであり、内部構築を知ることなのであるが、こうしたエンジニアリング・ファクトは無視され、ジャーナリスティックな逸話の類ばかりが一人歩きしているため、ENIACをコンピュータ史の流れの中でどのように位置づけたらよいのか、当惑を禁じえないのである。
こうした分かり難さの原因は、実機を完成できず理論倒れに終わったものや、そもそも理論のための机上の話であったり、機密維持のため使用後破壊されてしまったり、今日的基準での明確な仕様書や設計図面のような文書類がなかったりで、後世の人間が事実に基づく議論を行う上での障害が大きいことが上げられるが、本質的には、コンピュータをどのようなアーキテクチャーで設計したのかという基本的問題が整理整頓されずに議論されているからである。
たとえば、バベッジの差分エンジン(階差機関などとも訳されている)や解析エンジンのアーキテクチャー、ハーヴァード・マーク1のアーキテクチャー、ENIACのアーキテクチャー、どれをとっても明確なイメージを即座に思い浮かべることはできないのである。つまりアーキテクチャー視点の欠落が「てんでんばらばら感」を与える最大の原因であり、相互の位置づけを分かりにくいものにしている原因でもあるのである。
[エンジニアリング・ファクトへの回帰の必要性]
それに加えて、一部のジャーナリストによる根拠の薄い逸話の類やどう考えても理論そのものを理解しているとは思えないような無責任な解説が引用、孫引きされ、いつのまにか史実として多くの書物の中に現れ、さらにはまた、その書物が引用されたり、教育に使われたりで、その汚染は広範であり、根深いものとなってしまっているのである。
混乱が多いのは「差分エンジン、解析エンジン」、「テューリング・マシーン」、「暗号解析機のコロッサス」、「ハーヴァード・マーク1」、「ENIAC」、「プログラム内蔵方式」などに関連したものである。(字数制限により以下省略)
”あとがき”より抜粋
テクノロジーの進展が著しく、四半世紀前の1980年代初頭のパソコンの仕様が信じられないほど「おもちゃ」のように見え、半世紀前のENIAC, Manchester Mark 1, EDSACなど,はいうに及ばず、 UNIVACの名前すら全く知らない世代が大半となっている現在、彼らにコンピュータの起源を正しく伝えたいという希望が本書執筆の最大の動機であった。
執筆を進めてゆくうちに、取り留めの無い滑稽な記憶が走馬灯のように思い出され、夜中に一人で苦笑していたものである。本書の潜在的執筆動機のひとつに、これら筆者が若年の頃に抱いた実に素朴で無知な疑問・誤解に対する「自らへの回答の試み」があったようにも思っている。と同時に、筆者と同世代、あるいは先輩世代の方々で、筆者と同様な疑問を持ってこの半世紀過ごされてきた方々もおられることと思い、それらの方々への回答でもあることを願っている。
若干難解ではなかったかといった思いと、先人の業績を国際基準で正しく伝えるために は止むを得ないのではないかとの思いが交差している。どの程度ご理解頂けるように解説 できたのか不安が残るが、エンジニアリング・ファクトの提供を中心にまとめたつもりで ある。不備、誤解、誤りなどは読者諸兄姉氏のご叱正を待ち、国際基準でのコンピュータ 史の確立に寄与したいものと願っている。
1.1 コンピュータ史の現状
[現代コンピュータの基本要素]
21世紀がまさに始まったところの現在、コンピュータはインターネット接続の道具、ワードプロセッサー、表計算等々で使用されているのみならず、携帯電話、ゲーム機、デジカメ、家電、産業機器、金融機器などありとあらゆる機器で使用されている。なぜこれほど広範に使用されるに到ったのであろうか? もちろん物理的には驚異的な発展を遂げた半導体集積技術による微小化を除いては考えられないことではあるが、理論的には様々な制御を可能にした「プログラム」と「高速性」が最大の要因であると考えられる。
コンピュータは演算・制御・記憶を取り扱う機械であるが、それ自体をプログラムで制御するという「プログラム制御方式」の存在を除いては、現在の広範な適用は考えられない。と同時に、「高速性」は各種機器の動作時間より桁違いに速く、機器の動作をリアル・タイムで制御することを可能にし、広範な分野への適用を可能にしているからである。
コンピュータという複雑な機械を設計構成する上で「プログラム制御」という方式が大きな位置を占めていることは論を待たないが、「高速性」の実現も設計上の大きな位置を占めているのである。というのは、素材技術の高速性が必ずしもコンピュータというシステム全体の高速性を保証するものではないからである。システムの性能はシステムを構成する全ての部分の性能の集積であり、一部でも低速技術が用いられていると、システム全体の性能はその低速部分の性能と同じになってしまうからである。
したがって「プログラム制御」と「高速性」は今日のコンピュータ隆盛に不可分の要素であり、重層的に絡み合っているのである。
[アーキテクチャー視点の必要性]
これらの要素が今日のコンピュータの形態に統合されるまでには、多くの先人たちの努力が注がれ、様々な試みがなされ、したがって、数多くの「世界初」の評価が存在し、その軌跡は一見「てんでんばらばら」の感が否めず、後世の人間にとっては甚だわかりの悪いものとなっているのである。
たとえば、世界初の電子計算機として名高いENIACに関しては夥しい数の記述がなされ、真空管の総使用本数だとか、設置面積だとかの記述は繰返しなされているが、「ENIACのプログラムをどのように作成するのか」といった基本的な問題の解説を見つけることはほとんどないのである。「プログラムを作成すること」はとりも直さず、このコンピュータのアーキテクチャー(方式)を知ることであり、内部構築を知ることなのであるが、こうしたエンジニアリング・ファクトは無視され、ジャーナリスティックな逸話の類ばかりが一人歩きしているため、ENIACをコンピュータ史の流れの中でどのように位置づけたらよいのか、当惑を禁じえないのである。
こうした分かり難さの原因は、実機を完成できず理論倒れに終わったものや、そもそも理論のための机上の話であったり、機密維持のため使用後破壊されてしまったり、今日的基準での明確な仕様書や設計図面のような文書類がなかったりで、後世の人間が事実に基づく議論を行う上での障害が大きいことが上げられるが、本質的には、コンピュータをどのようなアーキテクチャーで設計したのかという基本的問題が整理整頓されずに議論されているからである。
たとえば、バベッジの差分エンジン(階差機関などとも訳されている)や解析エンジンのアーキテクチャー、ハーヴァード・マーク1のアーキテクチャー、ENIACのアーキテクチャー、どれをとっても明確なイメージを即座に思い浮かべることはできないのである。つまりアーキテクチャー視点の欠落が「てんでんばらばら感」を与える最大の原因であり、相互の位置づけを分かりにくいものにしている原因でもあるのである。
[エンジニアリング・ファクトへの回帰の必要性]
それに加えて、一部のジャーナリストによる根拠の薄い逸話の類やどう考えても理論そのものを理解しているとは思えないような無責任な解説が引用、孫引きされ、いつのまにか史実として多くの書物の中に現れ、さらにはまた、その書物が引用されたり、教育に使われたりで、その汚染は広範であり、根深いものとなってしまっているのである。
混乱が多いのは「差分エンジン、解析エンジン」、「テューリング・マシーン」、「暗号解析機のコロッサス」、「ハーヴァード・マーク1」、「ENIAC」、「プログラム内蔵方式」などに関連したものである。(字数制限により以下省略)
”あとがき”より抜粋
テクノロジーの進展が著しく、四半世紀前の1980年代初頭のパソコンの仕様が信じられないほど「おもちゃ」のように見え、半世紀前のENIAC, Manchester Mark 1, EDSACなど,はいうに及ばず、 UNIVACの名前すら全く知らない世代が大半となっている現在、彼らにコンピュータの起源を正しく伝えたいという希望が本書執筆の最大の動機であった。
執筆を進めてゆくうちに、取り留めの無い滑稽な記憶が走馬灯のように思い出され、夜中に一人で苦笑していたものである。本書の潜在的執筆動機のひとつに、これら筆者が若年の頃に抱いた実に素朴で無知な疑問・誤解に対する「自らへの回答の試み」があったようにも思っている。と同時に、筆者と同世代、あるいは先輩世代の方々で、筆者と同様な疑問を持ってこの半世紀過ごされてきた方々もおられることと思い、それらの方々への回答でもあることを願っている。
若干難解ではなかったかといった思いと、先人の業績を国際基準で正しく伝えるために は止むを得ないのではないかとの思いが交差している。どの程度ご理解頂けるように解説 できたのか不安が残るが、エンジニアリング・ファクトの提供を中心にまとめたつもりで ある。不備、誤解、誤りなどは読者諸兄姉氏のご叱正を待ち、国際基準でのコンピュータ 史の確立に寄与したいものと願っている。
著者について
能澤 徹
1947年生
埼玉大学理工学部卒業
George Washington University.
Master’s Certificate in Project Management
PMP (米国PMI 認定Project Management Professional)
IBM藤沢研究所、大和研究所、勤務を経て(株)テクノレヴュー代表取締役
IBM社において
IBM3767 SNA通信端末装置
IBM3276 通信制御・表示総被
マルティステーションBM5550
等の製品開発に従事、IBM5550開発においてチーフ・エンジニアとしてシステム・デザイン及びOSの設計開発を担当、その後、PC-DOS、システム・アプリケーション開発などのマネジメントを担当
主要著書
国際標準プロジェクトマネジメント、 日科技連出版社、1999
アドバンスト・プロジェクトマネジメント、日科技連出版社、2003
1947年生
埼玉大学理工学部卒業
George Washington University.
Master’s Certificate in Project Management
PMP (米国PMI 認定Project Management Professional)
IBM藤沢研究所、大和研究所、勤務を経て(株)テクノレヴュー代表取締役
IBM社において
IBM3767 SNA通信端末装置
IBM3276 通信制御・表示総被
マルティステーションBM5550
等の製品開発に従事、IBM5550開発においてチーフ・エンジニアとしてシステム・デザイン及びOSの設計開発を担当、その後、PC-DOS、システム・アプリケーション開発などのマネジメントを担当
主要著書
国際標準プロジェクトマネジメント、 日科技連出版社、1999
アドバンスト・プロジェクトマネジメント、日科技連出版社、2003
登録情報
- 出版社 : テクノレヴュー (2003/12/6)
- 発売日 : 2003/12/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 360ページ
- ISBN-10 : 4902403005
- ISBN-13 : 978-4902403008
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,071,012位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 157位計算機の本
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年7月26日に日本でレビュー済み
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大変に面白い本だと思います。もともと学者ではなくエンジニアの方らしいもので,客観性を意識したものではなないだけに,その内容を鵜呑みにするのではなく,これをベースに考察を重ね,いろんな意見の方々と議論するのに最適なものです。その意味では日本のコンピュータ史の定番になってしかるべきでしょう。
ただし,非所に残念なことは,おそらく編集者が介在していないことで,誤字や脱字,表現の統一など,そもそも「読み物」として成立しないのではないかと思われるひどさです。内容が素晴らしいだけに悔やまれます。
ただし,非所に残念なことは,おそらく編集者が介在していないことで,誤字や脱字,表現の統一など,そもそも「読み物」として成立しないのではないかと思われるひどさです。内容が素晴らしいだけに悔やまれます。
2004年3月27日に日本でレビュー済み
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コンピューターのいろいろな概念について、エンジニアリングの観点から、発明者を明らかにしてゆく、という本。すべて一次資料を参照している、という 力作。チャールズ・バベッジの差分エンジンの詳細な解説などの他の書籍では見たことのない内容や、IPLのプログラムの発明者、デヴィッド・ウィーラーに「制御プログラム」の発明者として高い評価を与えている、など、興味深い内容になっている。
が、本としての出来は、良くない。図が分かりづらい。著者が自分で作成したモノなのだろうが、(少なく とも私にとっては)意味不明な図が多すぎた。
また、人名をすべて英語読みで統一していたが、それも違和感があった。
コンセプトとしては非常によいのですが、減点が多すぎです。
が、本としての出来は、良くない。図が分かりづらい。著者が自分で作成したモノなのだろうが、(少なく とも私にとっては)意味不明な図が多すぎた。
また、人名をすべて英語読みで統一していたが、それも違和感があった。
コンセプトとしては非常によいのですが、減点が多すぎです。
2004年1月31日に日本でレビュー済み
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従来のコンピュータの歴史ものとは、一線を画す書籍。
理由
①プログラム内臓方式とは何かを明確に解説している。(他の書籍では意外と不足ぎみ)
②従来の書籍にない的確な独自の図表が各所に配置されていて、理解を助ける。(最近の雑誌の図表は色とデザインのみが華やかで内容が伴わないケースと比較すると、素朴で本質を突いている)
図表例 図2-9 「プログラム制御方式概念への道」 バベッジ
図2-10「解析エンジンの構成概念図」 バベッジ
図5-4 「プログラム制御マシーンの比較」
図5-5 「プログラム制御コンピュータの流れ」
図6-9 「電子式コンピュータのまとめ」
7.9 「プログラム内蔵方式概念のまとめ」
8.5 「プログラム内臓式コンピュータのまとめ」
③バベッジやノイマンやEDSACの歴史的位置づけとその理由が大変明解で、過去取りあげた彼らの自伝的解説・映像とはかなり趣きを異にしており、参考になる。
理由
①プログラム内臓方式とは何かを明確に解説している。(他の書籍では意外と不足ぎみ)
②従来の書籍にない的確な独自の図表が各所に配置されていて、理解を助ける。(最近の雑誌の図表は色とデザインのみが華やかで内容が伴わないケースと比較すると、素朴で本質を突いている)
図表例 図2-9 「プログラム制御方式概念への道」 バベッジ
図2-10「解析エンジンの構成概念図」 バベッジ
図5-4 「プログラム制御マシーンの比較」
図5-5 「プログラム制御コンピュータの流れ」
図6-9 「電子式コンピュータのまとめ」
7.9 「プログラム内蔵方式概念のまとめ」
8.5 「プログラム内臓式コンピュータのまとめ」
③バベッジやノイマンやEDSACの歴史的位置づけとその理由が大変明解で、過去取りあげた彼らの自伝的解説・映像とはかなり趣きを異にしており、参考になる。
2004年3月10日に日本でレビュー済み
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コンピュータの元祖となる各機械・理論を数学的にちゃんと解説している。この数学的解説は、数学もしくは情報処理理論の勉強をしていないとちとつらい。
しかし、逆に言えば、大学の情報工学科に通う者なら、その学習した数学が、どう有機的につながって今のコンピュータを作ったのかが書かれているこの本を読むのは必須事項と言って良い。こういう切り口の授業があってもいいんではなかろうか。
編集・校正が甘すぎて、読むのがちとつらかったのが残念。
しかし、逆に言えば、大学の情報工学科に通う者なら、その学習した数学が、どう有機的につながって今のコンピュータを作ったのかが書かれているこの本を読むのは必須事項と言って良い。こういう切り口の授業があってもいいんではなかろうか。
編集・校正が甘すぎて、読むのがちとつらかったのが残念。
2008年9月27日に日本でレビュー済み
GRAPEや地球シミュレータ、京速と言った国産スーパーコンピュータに批判を繰り返していたブログ「スパコン漫遊日記」を書いていた人だったんですね。GRAPEの牧野先生からは「アレブログ」呼ばわりされていました。専門家から見ると、かなり的外れな批判だったようです。
とすると、コンピュータ史を正しく評価しているのかも疑問ですね。
とすると、コンピュータ史を正しく評価しているのかも疑問ですね。
2004年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
恐ろしく脱字の多い本なのですが、内容は軽~くそれを凌駕するものです。多少難解な表現をされていますので、若い方々には取っつき難いかもしれません。20年前にヨマサレタ電子計算機理論の「コンピュータの歴史」を、エンジニアの目を通して詳しく、そして興味深く解説されています。「ノイマン式」があてはまらないこと、何をもってコンピュータなのかなどは、とても考えさせられました。1995年はコンピュータ創生期の何人もが亡くなっていることなどにも興味を引きます。ハードメーカーのエンジニアはもとより、ソフトウエアの開発者、数学に興味のある方、第二次大戦前後の歴史のひとつとしても、頑張って読まれることをお勧めいたします。