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排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異 単行本
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済的排除、(2)市民社会の人々のあいだで起こっている社会的排除、(3)防犯・安
全対策の名の下に進められる犯罪予防における排除的活動。
本書は、こんにち(後期近代)の社会が、70年代までの安定的で同質的な
「包摂型社会」から、変動と分断を推し進める「排除型社会」へと移行したと捉
え、その構造とメカニズムを分析している。そしてこの悪夢のような現状をどの
ように克服するかを検討している。
いまや、逸脱や犯罪の原因を追求し更正させるといった包摂型の政策は重視さ
れなくなり、リスク評価を基準に、不審者の「奴ら」をあらかじめ排除・分
断・隔離するといった、保険統計的な犯罪予防政策が主流となった。本書はこの
ような排除型の政策を厳しく批判する----「シングルマザーやアンダークラ
ス、黒人や放浪する若者、麻薬常習者、クラック常習者などの、コミュニティで
弱い立場にある人々が、針で突つき回され、非難を浴びせられ、悪魔のように忌
み嫌われるようになった。このような新たな排除の世界にあって、本当に革新的
な政治をおこなおうと思えば、私たちを物質的な不安定と存在論的な不安の状態
に置いている根本原因、すなわち正義とコミュニティという基本問題を避けて通
ることはできない」。
だからといって、かつての包摂型の社会を懐かしんでも気休めにもならない。
ノスタルジーにふけり、かつての包摂型の政策をそのまま復活させることは、
いっそう息苦しい社会を招きかねないからである。わたしたちが取り組まなけれ
ばならない課題は、新たな形態のコミュニティ、市場の気まぐれに左右されない
雇用、八百長のない報酬配分----これらをどう実現するかなのである。
この排除型の社会にあわせて生きていくしかない...などと、決して諦めては
いけない(これこそ著者が最も強調している点である)。
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商品の説明
出版社からのコメント
の工夫をしております。できるだけ多くのひとに本書を手にとっていただきたい
と考えてつくりました。
抜粋
た本である。20世紀終わりの3分の1は、先進産業諸国において社会を紡いでいた
糸が急速にほどけた時代である。そのことは、個人主義と社会的平等への要求が
高まったことにも示される。その背景には、市場の力が社会のすみずみまで浸透
して、そのために社会生活が大きく変容したことがある。差異が、政治や公共生
活、教室、家族などあらゆる領域を、ゆっくりと、しかし確実に浸食しつつあ
る。この流れは、安定的で同質的な包摂型社会から、変動と分断を推し進める排
除型社会への移行として捉えることができる。後期近代世界においては、排除は
社会の3つの次元で進行した。第1は労働市場からの経済的排除である。第2は
市民社会の人々のあいだで起こっている社会的排除である。第3は刑事司法制
度と個人プライバシー保護の領域で広がっている排除的活動である。
[中略]このような都市に特徴的な状況にあって、私たちは、用心深く、計算
高く、世事に長け、保険統計的な〔actuarial〕態度をとるようになった。そし
て、困難な問題を回避し、異質な人々と距離をとり、みずからの安全や平穏
が脅かされないかぎりで他人を受け入れる、という態度をとるようになった。し
かし、このように判断を留保する態度が一般化するとともに、これとは矛盾する
態度が現われた。物質的に不安定で存在論的に不安な状況が、人々のあいだに、
自分の感情を他人に投影するという態度を生み出し、道徳主義を広める条件に
なっているのである。社会のいたるところで、人々のあいだに非難と応酬が飛び
交うようになった。シングルマザーやアンダークラス、黒人や放浪する若者、麻
薬常習者、クラック常習者などの、コミュニティで弱い立場にある人々が、針で
突つき回され、非難を浴びせられ、悪魔のように忌み嫌われるようになった。こ
のような新たな排除の世界にあって、本当に革新的な政治をおこなおうと思え
ば、私たちを物質的な不安定と存在論的な不安の状態に置いている根本原因、す
なわち正義とコミュニティという基本問題を避けて通ることはできない。これま
でならば、政治的には、1950年代や60年代のような包摂型の世界へのノスタル
ジーに耽ることで、議論を収めることもできた。しかし事態は、もはや後戻りで
きないところまで来ている。私たちは、もろもろの機会を目前にして、恐怖を取
り除くのではなく、恐怖を積極的に受け入れるという姿勢で臨まざるをえなく
なった。本書では、このような事態が意味するものを、そうなった経緯をたどり
つつ明らかにしたい。(「序文」より引用)
著者について
ニューヨーク市立大学大学院センター教授、およびイギリスのケント大学社会学
教授。犯罪学、社会学の研究者であり、犯罪問題を中心に社会的にも積極的な
活動をおこなっている。近著の『犯罪と処罰をめぐる新たなポリティクス』
(The New Politics of Crime and Punishment)では、犯罪が落ち着いているに
もかかわらず過剰な犯罪統制をおこなう、ニューレイバー(「第三の道」)によ
る排除的な政策を、厳しく批判している。
◆訳者紹介:青木秀男----1943年生。都市社会学研究所所長。
伊藤泰郎----1967年生。広島国際学院大学現代社会学部教員。
岸政彦----1967年生。龍谷大学社会学部教員。
村澤真保呂----1968年生。龍谷大学社会学部教員。
登録情報
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 541ページ
- ISBN-10 : 4903127044
- ISBN-13 : 978-4903127040
- Amazon 売れ筋ランキング: - 153,473位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
1967年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。社会学者。研究テーマは沖縄、生活史、社会調査方法論。主な著作に『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者』(ナカニシヤ出版 2013)、『街の人生』(勁草書房 2014)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社 2015)、『愛と欲望の雑談』(雨宮まみと共著 ミシマ社 2016)、『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』(石原丈昇・丸山里美と共著 有斐閣 2016)、『ビニール傘』(新潮社 2017)、『はじめての沖縄』(新曜社 2018)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房 2018)、『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(北田暁大・筒井淳也・稲葉振一郎と共著 有斐閣 2018)、『図書室』(新潮社 2019)『地元を生きる──沖縄的共同性の社会学』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著 ナカニシヤ出版 2020)、『100分de名著 ブルデュー「ディスタンクシオン」』 (NHK出版 2020)、『大阪』(柴崎友香と共著 河出書房新社 2021)、『リリアン』(新潮社 2021)、『東京の生活史』(筑摩書房 2021)、『生活史論集』(編著 ナカニシヤ出版 2022)など。
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トップレビュー
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罰主義)の科学的基盤である保険統計主義(データベースにもとづく効率的な予測技術)が、
本質主義(少数者にレッテルを貼ることによる差別的理解)や新自由主義と結びつくことによ
り、犯罪対処の産業化を推し進めている事態にたいして、犯罪をなくすためにはその真の原因
である社会を改革しなければならないのに、その正反対に向かっていることへの批判がある。
しかし本書の特徴は、そうした犯罪政策をめぐる変化から、その背景にある経済・社会・政治
・歴史へと考察を広げ、近代社会から後期近代社会への移行とその問題の大枠をクリアに整理
した点にある。むしろそちらのマクロな議論のほうが勉強になるくらいである。
興味深いのは、犯罪を雇用問題とからめて論じた著作は他にもけっこうあるが、さらに本書
では「存在論的不安」、つまり近代人の内面の問題にまで踏みこんで、それらのつながりを論
じている点である。そのことが本書をたんなる社会理論の書ではなく、人間のあり方への洞察
にもとづく思想的深みのある本にしている。
タイトルにある後期近代に登場した「排除型社会」は、皮肉なことに、もはや「社会」と呼べ
るような代物ではなく、むしろ社会が根底から破綻したこと、私たちは社会を根本的に再構築
しなければならない状況にあることを意味している。
私たちが現在いる状況を総括し、「これから何を考えなければならないか」を明確にしてい
る良書で、社会問題や社会思想に興味ある人なら誰にでもお勧めできる内容になっている。
分厚いわりに訳文が読みやすいので、読むのに苦にならない。
ネオリベラルとオールドリベラルが同根であることを嫌というほどわからせてくれる1冊。
「格差」「排除」といったキーワードは、いまや時代の寵児ともいえる誠に美しい社会状況だが、本書はそうした多くの書物群の総括的意味を持っているのではないか。
ジクムント・バウマンが推薦するだけのことはある。
ところどころ提議に対する結論が急ぎ過ぎで、論証に欠けるように思われる部分もないではない。
そうした部分をどのように判断するかは、結構本書の肝になっている。
とはいうものの、排除の動態を労働、市民社会、犯罪の各レベルに腑分けし、捌いていく筆致は誠に空が晴れるようだと言えばよいだろうか。
今日ほど世界思潮が、一般民衆の生活に土足で入り込んできている時代はない。
「哲学や思想なんて関係ない、そんなものは知らなくても生きていける」というのは、確かに永遠の真理かもしれないが、どうも雲行きが怪しくなってきているゾ!
「ロベスピエールは、所詮ルソーの手、ジャン=ジャック・ルソーの血にまみれた手こそがマキシミリアン・ロベスピエールに他ならない」
というハイネの名文句が、最近恐ろしいリアルさで迫ってくる気がする。
ハイネの19世紀と21世紀の今日では、当然時代相は違うが、偉大な詩人・哲学者の慧眼は特殊を超えた普遍法則を歴史のなかに見ていたのではないか。
ケインズも「恐ろしいのは思想である」であると喝破した。
今日のおぞましい歴史環境、これらは皆、思想の帰結ではないのか。
分厚い本でしたが、優しく丁寧に解説されており、非常に読みやすかったです。