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ノ-・フュ-チャ-: イタリア・アウトノミア運動史 単行本 – 2010/12/1
何だった/何であるのか?
1977年。すべての転回が起こった年!
イタリアでは、
労働を人生のすべてとは考えない若者たちによる、
激しい異議申し立て運動が爆発した。
77年の数々の反乱が今日の私たちに宛てて発信していた、
革新的・破壊的なメッセージを、
メディア・アクティヴィストであるビフォが描きだす。
- 本の長さ422ページ
- 言語日本語
- 出版社洛北出版
- 発売日2010/12/1
- ISBN-104903127125
- ISBN-13978-4903127125
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商品の説明
出版社からのコメント
77年は、イタリアにおいて、
自律的・創造的な運動(アウトノミア運動)の力が、
社会のただなかで試された年であった。
と同時に、労働過程の不安定化、社会関係の喪失、
うつ病の浸透が日常となる暗い未来の姿を、
目撃しはじめた年でもあった。
「ポストモダニティ」や「弱い思想」といった概念は、
この年月に姿を見せる。
幸福と絶望。本書では両方に視座をおくことで、
77年運動の問題系を検討する。
その幸福と絶望とは、
私たちがいま生きているこの現実の
「予兆」だったのだから。
著者について
1949年、イタリアのボローニャで生まれる。雑誌『ア/トラヴェルソ』の創刊、自由ラジオ「ラディオ・アリーチェ」を開局するなど、70年代のイタリア・アウトノミア運動の中心で活動する。77年の政治的弾圧によりフランスへ逃れ、その後ニューヨークにわたりサイバーパンクの潮流にかかわる。85年にイタリアに帰国後、インターネットをはじめとする新たなメディアを使ったネットワークの構築にとりくみ、メディア・アクティヴィストとして活動の領域を広げていく。邦訳書籍として『プレカリアートの詩:記号資本主義の精神病理学』(櫻田和也訳、河出書房新社、2009年)がある。より詳しい略歴は、本書のなかの廣瀬によるビフォへのインタヴューにおいて語られている。
◆訳/解説者紹介
廣瀬 純
1971年生、龍谷大学経営学部教員、映画批評誌『VERTIGO』(Nouvelles Editions Lignes)編集委員。
著書として『美味しい料理の哲学』(2005年、河出書房新社)、『闘争の最小回路:南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(2006年、人文書院)、『シネキャピタル』(2009年、洛北出版)、『闘争のアサンブレア』(2009年、コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著、月曜社)。訳書として、パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(2004年、月曜社)、トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』(2007年、共訳、月曜社)、同『未来派左翼』(2008年、NHK出版)など。
北川眞也
1979年生、大阪市立大学都市研究プラザG-COE特別研究員(博士研究員)。
論文として、「場所とニューライト・ポリティックス:イタリア・北部同盟のパダニアをめぐる言説的実践」(2004年、『人文地理』第56巻第2号所収)、「現代地政学における例外空間としての収容所:イタリアの不法移民収容所へ歓待する生権力」(2007年、『人文地理』第59巻第2号所収)、「移動=運動=存在としての移民:ヨーロッパの入口としてのイタリア・ランペドゥーザ島の収容所」(2010年、『VOL』第4号所収、以文社)など。
登録情報
- 出版社 : 洛北出版 (2010/12/1)
- 発売日 : 2010/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 422ページ
- ISBN-10 : 4903127125
- ISBN-13 : 978-4903127125
- Amazon 売れ筋ランキング: - 700,481位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 21,605位哲学・思想 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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72年フィアットミラフィオーリ工場占拠…77年に頂点に達したアウトノミアの運動は工場労働運動以降の運動として理解されるそうです。アウトノミアとは共産党や制度内左翼ではなく、赤い旅団のようなテロリズム路線とも違う若者プロレタリアたちのことでした。
レーニン時代の革命的な基盤=運動ユニットとしての親方制は、資本による機械化と熟練技術の直用により分断されてしまいました(資本による反革命)…一方アウトノミアたちはどんな目的をもって動員されたのだろうか?
そして77年の運動は何一つ政治的遺産を残さなかった…まるで記憶自体が消去されたかの様に忘れ去られて…どうしてそんなことになってしまったのか?興味の尽きない論考が重ねられていきます。
とても面白いインタビューもあります。資本による反革命から逃れて…80年〜84年フランコ・ビフォはニューヨーク、パリ、インド、中国で遊牧民的な生活を送りました。バロウズ、ディック、ウィリアム・ギブスンたちオルタナティヴ文学やサイバーパンクSFとの関わりもありました。
我々の生きる世界を理解するための非常に示唆に富んだ知見が数多く盛り込まれています。工業資本主義から記号資本主義へと密かにシフトした世界…77年とは我々の生きる今への転換点だったというのです。金融資本と知的産業の接合により知性・感情・人間関係・イメージ・性…あらゆるものが商品化されていく…つまり我々から取り上げられていったのです。
競争、心理的暴力、フラストレーション…不安定性が駆動する生産過程(暗澹たる生産のエンジン)。一方で起こるアイデンティティの暴力的な回帰とは…メディアとテロリズムの直結(というかメディアとしてのテロリズム)とは何なのか?
00年イタリアOECD蜂起。01年ジェノヴァ反G8デモ。03年反イラクデモ…
大規模なデモが動員される一方で我々にとって均質化と順応へのインセンティブは高まっているように思います。我々にとって最も恐ろしいことは自分が流通しなくなること…自分はいつだって交換可能でなければならないし、互換性を保つためにフォーマットされなければならない…そんな状況でアイデンティティなどどうやって形成すればいいのか。そしてアイデンティティもない連中ばかりの世の中でどうやったらつながりあったりできるというんだろうか?取り組むべきテーマはまさに要塞のごとく立ちはだかっているのです。
77年ボローニャで何があったのか。そして我々は今何を見ているのか…
イタリア・アウトノミア運動とは、この事件を主導した勢力。この事件は68年に比べると世界的な広がりがなかったこともあって、若年労働者、学生たちが起こしたカラ騒ぎというのが、この事件に対する一般的な見方のようです。しかしネグリの「マルチチュード」やポストフォーディズムに関する本を読むと必ず出てくるのがこのアウトノミア運動。Wikipediaにもまだ記述はなく、いったいどのような運動だったのか知りたくてこの本を手にとりました。
「運動史」と銘打っていますが、個々の事件を時系列にたどって意味を読み解くという意味での歴史ではありません。革命運動の中心にあった者として、改めて運動の本質を見極め、総括するのが目的。しかもかなり前に書かれているので、最近のグローバル化やIT革命の今日的状況に関する意味づけはない。
でも68年の運動家が書いた回想本などにあるような自己弁護や国家権力への怨念はみじんもなく、事件の本質を捉え、ドゥルーズ/ガタリやボードリヤールなどのポストモダン系現代思想を駆使しながらみごとに解明していると思います。
注釈や巻末の訳者解説が充実しているので日本人にも事件の詳細はよくわかります。ネグリとの立場の違いもわかる。ポストフォーディズム社会を考える上ではなかなかためになる本でした。