ピロピロ・チュルチュルのうどん。讃岐とはまったく別のうどん文化が徳島にあった。
二日酔いの朝にというか昼にはこれでしょう。
軽妙・洒脱な文章で語られる鳴門うどん・・・讃岐ツアーのお供に加えましょう!!
文章は『恐さぬ』ほどのインパクトが無いため星一つ減。
でも鳴門うどんは・・・美味いです。!!
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鳴門のちゅるちゅるうどん探訪記 鳴ちゅる 単行本(ソフトカバー) – 2006/5/27
中野 晃治
(著)
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社メディコム
- 発売日2006/5/27
- ISBN-104903506002
- ISBN-13978-4903506005
商品の説明
出版社からのコメント
新文化麺類学、始まる。
四国に誰も知らないうどんカルチャーがあった!
四国に誰も知らないうどんカルチャーがあった!
地元徳島でうわさの鳴門うどんの本。
マップ&アクセスもついて、鳴門うどん食べ歩きガイドとしても使っていただけます。
さぬきうどんという横綱級うどんを生んだ香川県に隣接する徳島県鳴門市に、細くてふぞろいの麺が特徴の「癒し系うどん(=鳴ちゅる)」があります。徳島県内でもその存在を知る人は少ない、地元・鳴門の人だけに長く愛されつづけてきた独特のディープなうどん文化。これに魅せられた徳島県在住の写真家が、鳴門の地方色豊かなローカルうどん店を正真正銘のライブで巡り歩き、熱い文章とあたたかなモノクロ写真で綴った渾身の応援歌です。
抜粋
もう数年も前のことである。
噂には聞いていたが、まだ一度も訪れたことのないうどんの名店があった。
『大井食堂』のうどんである。
なんとなく昔ながらのうどん、そんな印象があった。たしか売り切れ御免の店だったなあ、と思い出す。しかし当時の私にとって、うどん=讃岐うどんであり、腰があって太い麺しか眼中になかったのである。徳島でも頭に浮かぶのはそうしたうどん店ばかりであった(当時は讃岐うどん(系)の店がちょっとしたブームになっていた)。
そんな過ぎ去りしある夏の日。大井のうどんはなんと創業が江戸時代であるという噂を耳にしたのだ。さすがにそこまで歴史があるとなると無関心でもいられない。日増しに大井のことが気になり始めていた。なんとなく時代劇に出てくるうどん屋さんのイメージが頭に浮かんだ。
たまたま鳴門へ仕事で出掛けた時、よし立ち寄ってみようと思った。場所は大体だが、すでに見当がついている。しかし一度目は売り切れたのか、内暖簾。日を改めて再訪すると、今度は定休日。三度目は祈るような思いで正午少し前に出掛けた。
お店は大道銀店街の南側に平行して伸びるのどかな通りにある。路地の佇まいを残す大道横丁飲食街を通り抜けると、右手に白抜きで大井と染め抜かれた暖簾が風に揺れていた。
やっと入れる…。感動のあまり少々興奮している自分に気づく。立ち止まって遠めに眺める大井の暖簾が『幸福の黄色いハンカチ』にさえ見えてくる。
『大井食堂』はその名の通り大衆食堂のような佇まいであった。暖簾をくぐり足を踏み入れると、各テーブルはお客さんで埋まっていた。そわそわしながら店先で中を見渡していると、壁に掛けたお品書きが目に飛び込んで来た。
うどん代350円。
うどん玉子入代 400円。
うどん竹輪入代 400円。
そして各大。
じつに素っ気ない。
まさにうどんだけの一本勝負。
何という潔さであろう。
運よく空席ができ、そこへ腰掛ける。興奮気味になった自分を制しようとコップ水をぐっと飲む。そして奥から出て来たおばちゃんに、自分に言い聞かせるように注文を告げた。
「うどん、ひとつ」。
正午すぎの店内はずるずるとうどんを食べる人の至福で満たされていた。静かなる攻防とでも言おうか、うどんの入ったどんぶりを前に箸でうどんをつかみ、すすり、出汁を飲み、額に汗している。激しく、しかし慈しみを持ってうどんをちゅるちゅるする人の姿が、各テーブルにおいて個別に展開されているのだった。後から後から人はやって来て、客足は途絶えそうにない。ほどなく、お目当てのうどんは運ばれてきた。その瞬間、わが目を疑った。と同時に、笑みがこぼれた。
こんなうどん、初めてだヨ~。
噂には聞いていたが、まだ一度も訪れたことのないうどんの名店があった。
『大井食堂』のうどんである。
なんとなく昔ながらのうどん、そんな印象があった。たしか売り切れ御免の店だったなあ、と思い出す。しかし当時の私にとって、うどん=讃岐うどんであり、腰があって太い麺しか眼中になかったのである。徳島でも頭に浮かぶのはそうしたうどん店ばかりであった(当時は讃岐うどん(系)の店がちょっとしたブームになっていた)。
そんな過ぎ去りしある夏の日。大井のうどんはなんと創業が江戸時代であるという噂を耳にしたのだ。さすがにそこまで歴史があるとなると無関心でもいられない。日増しに大井のことが気になり始めていた。なんとなく時代劇に出てくるうどん屋さんのイメージが頭に浮かんだ。
たまたま鳴門へ仕事で出掛けた時、よし立ち寄ってみようと思った。場所は大体だが、すでに見当がついている。しかし一度目は売り切れたのか、内暖簾。日を改めて再訪すると、今度は定休日。三度目は祈るような思いで正午少し前に出掛けた。
お店は大道銀店街の南側に平行して伸びるのどかな通りにある。路地の佇まいを残す大道横丁飲食街を通り抜けると、右手に白抜きで大井と染め抜かれた暖簾が風に揺れていた。
やっと入れる…。感動のあまり少々興奮している自分に気づく。立ち止まって遠めに眺める大井の暖簾が『幸福の黄色いハンカチ』にさえ見えてくる。
『大井食堂』はその名の通り大衆食堂のような佇まいであった。暖簾をくぐり足を踏み入れると、各テーブルはお客さんで埋まっていた。そわそわしながら店先で中を見渡していると、壁に掛けたお品書きが目に飛び込んで来た。
うどん代350円。
うどん玉子入代 400円。
うどん竹輪入代 400円。
そして各大。
じつに素っ気ない。
まさにうどんだけの一本勝負。
何という潔さであろう。
運よく空席ができ、そこへ腰掛ける。興奮気味になった自分を制しようとコップ水をぐっと飲む。そして奥から出て来たおばちゃんに、自分に言い聞かせるように注文を告げた。
「うどん、ひとつ」。
正午すぎの店内はずるずるとうどんを食べる人の至福で満たされていた。静かなる攻防とでも言おうか、うどんの入ったどんぶりを前に箸でうどんをつかみ、すすり、出汁を飲み、額に汗している。激しく、しかし慈しみを持ってうどんをちゅるちゅるする人の姿が、各テーブルにおいて個別に展開されているのだった。後から後から人はやって来て、客足は途絶えそうにない。ほどなく、お目当てのうどんは運ばれてきた。その瞬間、わが目を疑った。と同時に、笑みがこぼれた。
こんなうどん、初めてだヨ~。
著者について
中野晃治氏/
フォトグラファー。1968年徳島県生まれ。地元出版社勤務を経て、四国遍路旅、大谷焼窯元など徳島を拠点にフォトグラファーとして活躍、執筆もこなす。現在、野山の花や枝葉を料理のつまものとして商品化した「葉っぱビジネス」で全国に知られる上勝町で家族4世帯で暮らす。中山間地域の課題をライフワークに、愛機ハッセルブラッド500Cで作品制作中。
写真集に徳島の10代・100人を取材、撮影した『彼らの居場所』。写真展は、『彼らの居場所』、俳人・住宅顕信の句に写真を添えた『顕信との対話』など。
フォトグラファー。1968年徳島県生まれ。地元出版社勤務を経て、四国遍路旅、大谷焼窯元など徳島を拠点にフォトグラファーとして活躍、執筆もこなす。現在、野山の花や枝葉を料理のつまものとして商品化した「葉っぱビジネス」で全国に知られる上勝町で家族4世帯で暮らす。中山間地域の課題をライフワークに、愛機ハッセルブラッド500Cで作品制作中。
写真集に徳島の10代・100人を取材、撮影した『彼らの居場所』。写真展は、『彼らの居場所』、俳人・住宅顕信の句に写真を添えた『顕信との対話』など。
登録情報
- 出版社 : メディコム; 初版 (2006/5/27)
- 発売日 : 2006/5/27
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 318ページ
- ISBN-10 : 4903506002
- ISBN-13 : 978-4903506005
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,428,529位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2008年8月5日に日本でレビュー済み
隠れた名品、鳴門うどんの存在を世に問うた、鳴門の歴史、いや徳島の歴史、いやニッポンの歴史(まではいかぬか)に残る記念碑的ルポである。
鳴門うどんは、おとなりの讃岐うどんを本格極太、麺そのもので勝負するストロングスタイルとするならば、へにゃへにゃ不揃い、出汁や具との一体感で勝負!のショーマンスタイルなのである。(このあたりシーナマコト風だが、いささか喩えに無理あり)
そして本書は、その鳴門うどんにスポットを当て、鳴門うどんの食える店を訪ね、実際に食し、そのうまさに涙し、製法を聞き、自宅で作り、具のメーカーや製麺所まで訪ねるという、これぞルポの王道の足で稼ぐ取材を行っている。半分は本人の道楽みたいなもんかも知れんが。
著者自ら撮った写真も食欲をそそり、座談会や、鳴ちゅるマップ、鳴ちゅる辞典など、オマケ企画も充実。
本書に載っている鳴ちゅるうどん店を何店も訪ねたが、確かにうまい。
讃岐うどんとはまた違った、完全に独立したうどんのジャンルとして、全国に問うべきうどんである!
そのために、本書の存在をまず、全国に問うべきである!
などと力まんでも、読んでると鳴ちゅるが食いたくなること請け合いの一冊です。
鳴門うどんは、おとなりの讃岐うどんを本格極太、麺そのもので勝負するストロングスタイルとするならば、へにゃへにゃ不揃い、出汁や具との一体感で勝負!のショーマンスタイルなのである。(このあたりシーナマコト風だが、いささか喩えに無理あり)
そして本書は、その鳴門うどんにスポットを当て、鳴門うどんの食える店を訪ね、実際に食し、そのうまさに涙し、製法を聞き、自宅で作り、具のメーカーや製麺所まで訪ねるという、これぞルポの王道の足で稼ぐ取材を行っている。半分は本人の道楽みたいなもんかも知れんが。
著者自ら撮った写真も食欲をそそり、座談会や、鳴ちゅるマップ、鳴ちゅる辞典など、オマケ企画も充実。
本書に載っている鳴ちゅるうどん店を何店も訪ねたが、確かにうまい。
讃岐うどんとはまた違った、完全に独立したうどんのジャンルとして、全国に問うべきうどんである!
そのために、本書の存在をまず、全国に問うべきである!
などと力まんでも、読んでると鳴ちゅるが食いたくなること請け合いの一冊です。