科学をテーマにした往復書簡。ノンフィクションライターの最相葉月とSF作家の
瀬名英明。どちらも好きな作家なのですぐに食いつきました。
生命科学や宇宙など、テーマの詳細は多岐にわたります。が、その中でも、“未来
を考えること”の大事さについて何度も話題は辿り着きます。特に気になった表現
は以下の通り。
「明日さえわからないのに未来など考えられないなどとうそぶくのではなく、明日を生きることをまず考える、その積み重ねが未来をつくる。」
「(人間が)愛すべき集団の輪を広げ、私たちが宇宙の一員であることに気づかせてくれたのは、科学の力だけではなく、科学が切り拓こうとする世界を物語る力だっただろう」
「(“光速より速いものはない”という知識を星新一から披露された際のお父さんの言葉)今地球のことを考えている。次に遠い星のことを考える。これにはなんら時間を要しない。人間の思考は光より速いということになるぞ。」
「“運命への平静さと勇気と知恵”を持ちたいと願うとき、少なくとも、他者の息づかいを感じ取る無線機だけは手放さずにいたい。」
“言いこと”を言おうとする瀬名さんに対して、自然体の最相さんのちょっとした
フレーズの中に込められた思いが印象に残ります。
”科学とは何か?”、”未来を考える意義とは何か?”を考えるきっかけになる
本です。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
未来への周遊券 単行本 – 2010/2/22
●内容
この切符の終着駅はどこだろう?
「瀬名さん、準備はよろしいですか?」
「最相さん、切符は手にしました」
こうして始まった、1年半にわたる往復書簡。
「未来を考えるということは、私たちひとりひとりが今と未来の間に「ひとつの装置」を見いだすことなのかもしれない。―― 瀬名」
「星新一もまた、暗闇と希望を知る人だったのだろう。……暗闇と希望をつなぐのは物語る力だろうか ―― 最相」
…手紙が行き交うたびに紡がれる、未来へ語り継ぐべき言葉の数々。
二人の「物語る力」が暗闇と希望をつないでいく。
未来を周遊するブックガイド付
●書店員さんの言葉
一回見開き二ページ読みきりの往復書簡という形式もあって、文章がきりりと引き締まっていて、立ち姿がとても美しく凛々しい。十年に一度の傑作。
(ジュンク堂書店池袋本店 大内達也氏)
科学を柱にノンフィクション作家と小説家が融合した魂の往復書簡。トークショーでも対談集でも味わえない思考の連鎖反応。二人によって私の未来が広がった。
(萬松堂、中山英氏)
この切符の終着駅はどこだろう?
「瀬名さん、準備はよろしいですか?」
「最相さん、切符は手にしました」
こうして始まった、1年半にわたる往復書簡。
「未来を考えるということは、私たちひとりひとりが今と未来の間に「ひとつの装置」を見いだすことなのかもしれない。―― 瀬名」
「星新一もまた、暗闇と希望を知る人だったのだろう。……暗闇と希望をつなぐのは物語る力だろうか ―― 最相」
…手紙が行き交うたびに紡がれる、未来へ語り継ぐべき言葉の数々。
二人の「物語る力」が暗闇と希望をつないでいく。
未来を周遊するブックガイド付
●書店員さんの言葉
一回見開き二ページ読みきりの往復書簡という形式もあって、文章がきりりと引き締まっていて、立ち姿がとても美しく凛々しい。十年に一度の傑作。
(ジュンク堂書店池袋本店 大内達也氏)
科学を柱にノンフィクション作家と小説家が融合した魂の往復書簡。トークショーでも対談集でも味わえない思考の連鎖反応。二人によって私の未来が広がった。
(萬松堂、中山英氏)
- 本の長さ187ページ
- 言語日本語
- 出版社ミシマ社
- 発売日2010/2/22
- ISBN-104903908178
- ISBN-13978-4903908175
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
●最相葉月(さいしょう・はづき)
1963年、東京都生まれ。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、教育などをテーマに執筆。
97年、『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞受賞。07年、『星新一 一〇〇一話をつくった人』で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、08年、同書で日本推理作家協会賞、星雲賞受賞。
他の著書に『青いバラ』『いのち 生命科学に言葉はあるか』『ビヨンド・エジソン』など多数ある。
●瀬名秀明(せな・ひであき)
1968年、静岡県生まれ。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)在学中の95年『パラサイト・イヴ』で日本ホラー小説大賞を受賞し、作家デビュー。
小説の著作に、第19回日本SF大賞受賞作『BRAIN VALLEY』、『八月の博物館』『デカルトの密室』などがある。
他の著書に『大空の夢と大地の旅』、『パンデミックとたたかう』(押谷仁との共著)、『インフルエンザ21世紀』(鈴木康夫監修)など多数ある。
1963年、東京都生まれ。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、教育などをテーマに執筆。
97年、『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞受賞。07年、『星新一 一〇〇一話をつくった人』で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、08年、同書で日本推理作家協会賞、星雲賞受賞。
他の著書に『青いバラ』『いのち 生命科学に言葉はあるか』『ビヨンド・エジソン』など多数ある。
●瀬名秀明(せな・ひであき)
1968年、静岡県生まれ。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)在学中の95年『パラサイト・イヴ』で日本ホラー小説大賞を受賞し、作家デビュー。
小説の著作に、第19回日本SF大賞受賞作『BRAIN VALLEY』、『八月の博物館』『デカルトの密室』などがある。
他の著書に『大空の夢と大地の旅』、『パンデミックとたたかう』(押谷仁との共著)、『インフルエンザ21世紀』(鈴木康夫監修)など多数ある。
登録情報
- 出版社 : ミシマ社 (2010/2/22)
- 発売日 : 2010/2/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 187ページ
- ISBN-10 : 4903908178
- ISBN-13 : 978-4903908175
- Amazon 売れ筋ランキング: - 593,828位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 154,127位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1963年、東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒。科学技術と人間の関係性、スポーツ、近年は精神医療、カウンセリングをテーマに取材。
97年『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞。2007年『星新一 一〇〇一話をつくった人』で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、08年同書で日本推理作家協会賞、星雲賞。
ほかのノンフィクションに『青いバラ』『セラピスト』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『れるられる』『証し 日本のキリスト者』『中井久夫 人と仕事』など、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月 仕事の手帳』『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』『母の最終講義』、児童書に『調べてみよう、書いてみよう』、共著に『心のケア 阪神・淡路大震災から東北へ』『胎児のはなし』など。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2010年10月19日に日本でレビュー済み
本書は、2008年4月から2009年10月まで産経新聞大阪版科学欄に掲載された
計76通の往復書簡。
一応、本書のテーマとしては「未来」ということになるのだろうが、そもそも見開き
2ページの文章に託しうる情報量などたかが知れている以上、系統的な考察や観察が
あるでもなく、互いの書簡からの半ば自由連想的なエッセイが展開されているだけ。
日本語それ自体のクオリティは双方安定しているのだけれども、冒頭から
「瀬名さん、準備はよろしいですか」
「最相さん、切符は手にしました。どうぞよろしく」
などというノリに、私個人としては生理的に抵抗を覚えずにはいられなかった。
うまいことをいってやろう、などという悪意が働いているとも思わないが、例えば、
「いつでも夏は永遠のふりをする。だからこそ生きることについて、大切な何かを教えて
くれる」(瀬名、p.41)やら、「生も死も、すぐそばにある。かけがえのないもの。」(最相、
p.147)などという具合に、読んでいて気恥ずかしさを覚えてしまう表現が結びの文句を
中心に両者競い合うように目白押しで、かといって科学的な知見についても断片的に
ならざるを得ず、正味、イタいとの印象しか残っていない、もちろん、他のレヴュアーさんの
ようにこういう過剰さが好きだという人もいるのだろうけれども。
両者が自然科学(者)への敬意を十二分に抱いているのは分かるが、 シャルガフ に
依拠しての、「科学者は知れば知るほど無知になり、誰もが所期の目的を忘れてしまって
いる……生命科学はただの技術競争になり、生命の本質を追わなくなった」との批判を
はじめ、各々のジャンルにおける方法論、パラダイムに向けて地道に力を尽くす人々に
対しての配慮がややもすると欠けているように見えてしまう表現が目についてならない。
果たして技術を推進するにおいて、動機づけってそこまで大切なのだろうか。
最相葉月という人から膨大な取材記録を剥ぎ取ってみると、思いやら心やらの冗長で
かったるい感情論しか残らない、そんな失望感を突きつけられてしまった。
計76通の往復書簡。
一応、本書のテーマとしては「未来」ということになるのだろうが、そもそも見開き
2ページの文章に託しうる情報量などたかが知れている以上、系統的な考察や観察が
あるでもなく、互いの書簡からの半ば自由連想的なエッセイが展開されているだけ。
日本語それ自体のクオリティは双方安定しているのだけれども、冒頭から
「瀬名さん、準備はよろしいですか」
「最相さん、切符は手にしました。どうぞよろしく」
などというノリに、私個人としては生理的に抵抗を覚えずにはいられなかった。
うまいことをいってやろう、などという悪意が働いているとも思わないが、例えば、
「いつでも夏は永遠のふりをする。だからこそ生きることについて、大切な何かを教えて
くれる」(瀬名、p.41)やら、「生も死も、すぐそばにある。かけがえのないもの。」(最相、
p.147)などという具合に、読んでいて気恥ずかしさを覚えてしまう表現が結びの文句を
中心に両者競い合うように目白押しで、かといって科学的な知見についても断片的に
ならざるを得ず、正味、イタいとの印象しか残っていない、もちろん、他のレヴュアーさんの
ようにこういう過剰さが好きだという人もいるのだろうけれども。
両者が自然科学(者)への敬意を十二分に抱いているのは分かるが、 シャルガフ に
依拠しての、「科学者は知れば知るほど無知になり、誰もが所期の目的を忘れてしまって
いる……生命科学はただの技術競争になり、生命の本質を追わなくなった」との批判を
はじめ、各々のジャンルにおける方法論、パラダイムに向けて地道に力を尽くす人々に
対しての配慮がややもすると欠けているように見えてしまう表現が目についてならない。
果たして技術を推進するにおいて、動機づけってそこまで大切なのだろうか。
最相葉月という人から膨大な取材記録を剥ぎ取ってみると、思いやら心やらの冗長で
かったるい感情論しか残らない、そんな失望感を突きつけられてしまった。
2010年10月11日に日本でレビュー済み
ノンフィクションライターの最相葉月と、SF作家の瀬名秀明。
この2人が『未来』をテーマに手紙をやり取りする。
2008年4月‾2009年10月の産経新聞での連載をまとめたもの。
一通目の最相さんからの手紙が素晴らしいと思う。
これを読むだけで未来を考えるというのはどういうことなのか、深く考えさせられる。
最相さんは未来とは「できることを積み重ねる旅」だと言う。
瀬名さんとのやり取りの中で、確かに『未来』を感じさせる技術が紹介される。
だが、ただ技術を紹介するだけでなく、それを作っている人の姿勢や信念のようなものも一緒に描く。
未来を考えるとき、革新的な技術を想像しがちだが、この2人はそれを作る人を表に出す。
過去を作ってきたのも人で、これから未来を作っていくのも人なのだと強く意識させられる。
未来とは個人の夢の積み重ねなのだ。
50年前は多くの人が持っていた科学への期待は、今の時代では同じように持つことはできない。
未来がバラ色であるとはどうしても思えない。
環境やら戦争やら心配なことはたくさんあるけれど、少なくても科学は少しずつ進歩してると感じられた。
いや、進歩させている人がいると感じられたことが収穫だったと思う。
この2人が『未来』をテーマに手紙をやり取りする。
2008年4月‾2009年10月の産経新聞での連載をまとめたもの。
一通目の最相さんからの手紙が素晴らしいと思う。
これを読むだけで未来を考えるというのはどういうことなのか、深く考えさせられる。
最相さんは未来とは「できることを積み重ねる旅」だと言う。
瀬名さんとのやり取りの中で、確かに『未来』を感じさせる技術が紹介される。
だが、ただ技術を紹介するだけでなく、それを作っている人の姿勢や信念のようなものも一緒に描く。
未来を考えるとき、革新的な技術を想像しがちだが、この2人はそれを作る人を表に出す。
過去を作ってきたのも人で、これから未来を作っていくのも人なのだと強く意識させられる。
未来とは個人の夢の積み重ねなのだ。
50年前は多くの人が持っていた科学への期待は、今の時代では同じように持つことはできない。
未来がバラ色であるとはどうしても思えない。
環境やら戦争やら心配なことはたくさんあるけれど、少なくても科学は少しずつ進歩してると感じられた。
いや、進歩させている人がいると感じられたことが収穫だったと思う。
2010年2月24日に日本でレビュー済み
久しぶりに美しいと思える本に出会った。
装丁も凝っているわけではなく、書籍を所有する喜びが感じられるような出来。本の内容にあった素敵な装丁だと思ったら、クラフト・エヴィング商會の手によるものだった。
内容も負けてない。ノンフィクションライターの最相葉月氏と小説家(だけではないけど)の瀬名秀明氏の往復書簡という形式をとった科学に関するエッセイ。もとは、産経新聞に連載されいた。
お互いの文章が織り重ねられるように、一つのテーマから他のテーマへ、違和感なく展開していく。二人の科学観は全く同じわけではないのだろうが、科学技術が未来を創っていく思いは共通していて、それが対話を成立させ、そして、その対話を豊かにしていく。
読み進めるうちに、「この往復書簡がずっと続いて欲しい」と思うぐらい、読み終えたくなくなるぐらいの本だった。
ちょうど、二人の著者の間ぐらいに生まれた自分もかれらの少年時代を共有していて、少年時代の科学に対する思いなどが思い起こされ、自分が科学少年だったことを思い出した。
こういう本を小中学生に読んで欲しいな。
装丁も凝っているわけではなく、書籍を所有する喜びが感じられるような出来。本の内容にあった素敵な装丁だと思ったら、クラフト・エヴィング商會の手によるものだった。
内容も負けてない。ノンフィクションライターの最相葉月氏と小説家(だけではないけど)の瀬名秀明氏の往復書簡という形式をとった科学に関するエッセイ。もとは、産経新聞に連載されいた。
お互いの文章が織り重ねられるように、一つのテーマから他のテーマへ、違和感なく展開していく。二人の科学観は全く同じわけではないのだろうが、科学技術が未来を創っていく思いは共通していて、それが対話を成立させ、そして、その対話を豊かにしていく。
読み進めるうちに、「この往復書簡がずっと続いて欲しい」と思うぐらい、読み終えたくなくなるぐらいの本だった。
ちょうど、二人の著者の間ぐらいに生まれた自分もかれらの少年時代を共有していて、少年時代の科学に対する思いなどが思い起こされ、自分が科学少年だったことを思い出した。
こういう本を小中学生に読んで欲しいな。