ドキュメンタリーというより、研究者がコンクールで体験した感想文である。
作者はピアノ好きなようで、全体的に明るく、ウキウキするような文書である。
また、豊富なインタビュー記録があって、クライバーン・コンクールについて知れる良書である。
気になった点は、クライバーン・コンクールの良い点ばかり書かれていて、まるで広報誌のような点である。
どんなコンクールでも問題点や改善点があり、それがなければ今後の発展もないだろう。
論文でも構わないので、著者が感じた疑問点などについて、書かれることを願っています。
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ヴァンクライバーン 国際ピアノコンクール 市民が育む芸術イヴェント 単行本 – 2010/6/25
吉原 真里
(著)
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購入オプションとあわせ買い
2009年、日本人ピアニスト、辻井伸行さんが優勝したことにより、日本中にその名を知られるようになった「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」。ハワイ大学でアメリカ研究を専攻する著者は、その第13回コンクールの予選から本選までを研究者として取材し、はからずも辻井さんの優勝にいたるドラマの一部始終の目撃者となった。 テキサスの一地方都市で開催されるコンクールが、チャイコフスキー、ショパンといった世界的な音楽コンクールと肩をならべるまでの権威を獲得し、国際的な成功をおさめるにいたった理由とは? 1200人もの市民ボランティアが支えるコンクールの舞台裏はどうなっているのか? そして、辻井伸行とハオチェン・チャン(中国)が1位、ヨルム・ソン(韓国)が2位と、2009年も入賞を独占したアジア人音楽家たちの活躍の背景にはなにがあるのか──。 「理想のコンクール」を求める人々の姿を熱くドキュメントした音楽ノンフィクションの快作!
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社アルテスパブリッシング
- 発売日2010/6/25
- ISBN-104903951324
- ISBN-13978-4903951324
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商品の説明
著者について
吉原真里(よしはら・まり) 1968年ニューヨーク生まれ。東京大学教養学部卒、米国ブラウン大学博士号取得。ハワイ大学アメリカ研究学部教授。専門は、アメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究など。著書にEmbracing the East: White Women and American Orientalism (Oxford, 2003); Musicians from a Different Shore: Asians and Asian Americans in Classical Music (Temple, 2007)、『アメリカの大学院で成功する方法』『ドット・コム・ラヴァーズ』(ともに中公新書)、『性愛英語の基礎知識』(新潮新書)、共編著『現代アメリカのキーワード』(中公新書)がある。
登録情報
- 出版社 : アルテスパブリッシング (2010/6/25)
- 発売日 : 2010/6/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 280ページ
- ISBN-10 : 4903951324
- ISBN-13 : 978-4903951324
- Amazon 売れ筋ランキング: - 759,512位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,280位ワールドミュージック
- - 1,379位ワールド楽譜・スコア・音楽書
- - 14,467位その他楽譜・スコア・音楽書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ハオチェン・チャンのコンサートに行って深く感銘を受けたので、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのことが知りたくて購読。日本では辻井伸行さんのことばかりがクローズアップされていたので、このコンクールに同時優勝したピアニストがいたことも知らなかった。
この本では、辻井さんのことだけでなく、コンクール全般について網羅的に解説紹介されている。出演者や関係者、審査員などのインタビュー、コンクールの成り立ちや、このイヴェントを支えるホストファミリーやボランティアなど多くの人々の活動も興味深い。そしてこのコンクールが出場者達にとっていかに厳しい試練を乗り越えなければならないハードなものなのかがわかった。
予選、準予選、ファイナルのそれぞれについて、主要な出場者の演奏についての著者の批評も的確でわかりやすい。DVDのドキュメントなどではわからない個別の演奏の出来不出来や特徴もわかって、チャンと辻井さんがなぜ優勝を勝ち得ることができたのかが納得できる。どんぐりの背比べなどではなく、やはり2人はすごかったのだ。
私はチャンの生の演奏を聴いたとき、将来の巨匠の若いときに遭遇したような驚きをもったのだが、著者も「天才の誕生を目撃したような気がする」と評していて、チャンについて同じ印象をもたれたのだなと思った。「なんだか他のピアニストと違う」「全曲を通して音はキラキラと光り、リズム感は抜群で、聞いていて涙が出そうだった」という評には全く共感する。
そして辻井さんが、純粋にピアニズムという点でいかに聴衆の心を打つ演奏をしたかが語られている。今度はぜひ辻井さんの生の演奏にも触れてみたい。
この本では、辻井さんのことだけでなく、コンクール全般について網羅的に解説紹介されている。出演者や関係者、審査員などのインタビュー、コンクールの成り立ちや、このイヴェントを支えるホストファミリーやボランティアなど多くの人々の活動も興味深い。そしてこのコンクールが出場者達にとっていかに厳しい試練を乗り越えなければならないハードなものなのかがわかった。
予選、準予選、ファイナルのそれぞれについて、主要な出場者の演奏についての著者の批評も的確でわかりやすい。DVDのドキュメントなどではわからない個別の演奏の出来不出来や特徴もわかって、チャンと辻井さんがなぜ優勝を勝ち得ることができたのかが納得できる。どんぐりの背比べなどではなく、やはり2人はすごかったのだ。
私はチャンの生の演奏を聴いたとき、将来の巨匠の若いときに遭遇したような驚きをもったのだが、著者も「天才の誕生を目撃したような気がする」と評していて、チャンについて同じ印象をもたれたのだなと思った。「なんだか他のピアニストと違う」「全曲を通して音はキラキラと光り、リズム感は抜群で、聞いていて涙が出そうだった」という評には全く共感する。
そして辻井さんが、純粋にピアニズムという点でいかに聴衆の心を打つ演奏をしたかが語られている。今度はぜひ辻井さんの生の演奏にも触れてみたい。
2010年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、アメリカのオンライン・デーティングを実践した希書『ドット・コム・ラヴァーズ』を書いたハワイ大学の先生。この本と同じタイミングで出た新作が『性愛英語の基礎知識』だから、エッチな話が専門なのかと思っていたら、本職はこっちらしい(笑)。
著者のフランクな性格故か、コンクールのキーパーソンたちに軒並み話を聞いているのは貴重である。特に、コンクールを主催するクライバーン財団のスタッフ、優勝した辻井伸行さんの家族などには、三週間のコンクール期間にわたって密着しており、ほとんど「関係者」と言っても良いくらいだ。全体にわたって、スタッフも演奏者も観客も、音楽を心から楽しんでいるのが印象的だ。
自身がピアノを弾く著者の演奏へのコメントも面白く、ナターシャ・クドリスカヤの演奏などはyoutubeで探してしまった。音楽が好きな人にはおすすめ。
著者のフランクな性格故か、コンクールのキーパーソンたちに軒並み話を聞いているのは貴重である。特に、コンクールを主催するクライバーン財団のスタッフ、優勝した辻井伸行さんの家族などには、三週間のコンクール期間にわたって密着しており、ほとんど「関係者」と言っても良いくらいだ。全体にわたって、スタッフも演奏者も観客も、音楽を心から楽しんでいるのが印象的だ。
自身がピアノを弾く著者の演奏へのコメントも面白く、ナターシャ・クドリスカヤの演奏などはyoutubeで探してしまった。音楽が好きな人にはおすすめ。
2010年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の主要な目的はコンクールの全体なり特徴を紹介するものであろうが、私にとっては、教育TVやDVDのドキュメンタリーの内容をより深く理解するというか、「ああ、そういうことだったんだ」と納得することにつながったことの方が大きい。
コンクールのトップ3は、中国の彼と、日本の辻井さんと、韓国の彼女であったわけだが、それは現地では結果発表前の評判にほぼ沿っていたということ、ではその3人がファイナリスト6名のなかでなぜ上位3人となったのか、著者なりの批評がされているがこれが私には分かりやすかった。
もう一人の中国人ファイナリストであるディーウーさんはDVDを見る限りでは迫力満点であったが実はコンチェルトの1曲目で小さくない失敗がありそのことが彼女のその後の演奏にどのように影響したのかとか、ブルガリアのボジャーノフさんの演奏がコンテストの中でどのような特異性を持っていたのかとか、興味はつきない。更に、DVDでは結構登場していたエドワルドクンツさん(ということは前評判は高かった)がなぜファイナルにすすめなかったのかとか、著者が予選で注目したアンドレアラムさん(セミファイナルリスト発表場面ではしゃいでいた目のくりくりっとしたかわいらしい女性といえばお分かりか?)はセミファイナルの演奏で何が問題であったのかとか…。予選からセミファイナル、ファイナルすべての演奏を聴いた著者の批評は音楽素人の私にも分かりやすいだけでなく説得力がある。
もちろん、ヴァンクライバーンピアノコンクールそのものの解説も、豊富なインタヴューもあっておもしろい。
2013年に開催されるであろう次のコンクールを現地で、ナマで、もちろん通しで体験したいと、まじめに考えてしまうのであった。無理だろうけど…。いや、不可能ではないかもしれない…。
コンクールのトップ3は、中国の彼と、日本の辻井さんと、韓国の彼女であったわけだが、それは現地では結果発表前の評判にほぼ沿っていたということ、ではその3人がファイナリスト6名のなかでなぜ上位3人となったのか、著者なりの批評がされているがこれが私には分かりやすかった。
もう一人の中国人ファイナリストであるディーウーさんはDVDを見る限りでは迫力満点であったが実はコンチェルトの1曲目で小さくない失敗がありそのことが彼女のその後の演奏にどのように影響したのかとか、ブルガリアのボジャーノフさんの演奏がコンテストの中でどのような特異性を持っていたのかとか、興味はつきない。更に、DVDでは結構登場していたエドワルドクンツさん(ということは前評判は高かった)がなぜファイナルにすすめなかったのかとか、著者が予選で注目したアンドレアラムさん(セミファイナルリスト発表場面ではしゃいでいた目のくりくりっとしたかわいらしい女性といえばお分かりか?)はセミファイナルの演奏で何が問題であったのかとか…。予選からセミファイナル、ファイナルすべての演奏を聴いた著者の批評は音楽素人の私にも分かりやすいだけでなく説得力がある。
もちろん、ヴァンクライバーンピアノコンクールそのものの解説も、豊富なインタヴューもあっておもしろい。
2013年に開催されるであろう次のコンクールを現地で、ナマで、もちろん通しで体験したいと、まじめに考えてしまうのであった。無理だろうけど…。いや、不可能ではないかもしれない…。
2010年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あの辻井伸行くんが優勝した、ヴァンクライバーン・コンクールって一体どんなものなのかな?という単純な思いから、読んでみる事にしました。とにかく内容がストレートに伝わって来て、このコンクールで優勝するという事が、いかに大変ですごい事かがよく分かりました。
まず出場する為の条件が、プロとして活動していなくては得られない程色々な注文が付けられていて、その中でもビックリしたのが、世界で認められている音楽家の推薦まで必要とされていた事です。例えずば抜けて上手でも、普通の音大生位では出場すら出来ないコンクールだったのです。
著者の方もピアノが弾けて、クラシックに精通しているので、演奏に対する感想や批評もとても具体的で分かり易かったですね。また、辻井くんの演奏を聴いての驚きの体験談なども、とても興味深くて面白かったです。多方面からコンクールを見て、色々な人々にインタビューして聞いているので、ヴァンクライバーン・コンクールを深く知ることが出来る、お勧めの一冊です。
まず出場する為の条件が、プロとして活動していなくては得られない程色々な注文が付けられていて、その中でもビックリしたのが、世界で認められている音楽家の推薦まで必要とされていた事です。例えずば抜けて上手でも、普通の音大生位では出場すら出来ないコンクールだったのです。
著者の方もピアノが弾けて、クラシックに精通しているので、演奏に対する感想や批評もとても具体的で分かり易かったですね。また、辻井くんの演奏を聴いての驚きの体験談なども、とても興味深くて面白かったです。多方面からコンクールを見て、色々な人々にインタビューして聞いているので、ヴァンクライバーン・コンクールを深く知ることが出来る、お勧めの一冊です。
2016年9月17日に日本でレビュー済み
国際的芸術イベントである、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールの、第13回大会の模様を描いた作品。著者の吉原真理氏はハワイ在住の大学教授で、アマチュアながらコンクール出場を目指すピアニストでもある。
辻井伸行さんが優勝した事もあって、コンクールの名前だけは知っていたけど、開催地がアメリカのテキサス州とは少し意外、なんだかショパンのカウボーイ姿を想像してしまった。作品では予選から本選までのレポート、出場者へのインタビュー、コンクールの歴史、イベントを支えるスタッフやボランティアの人々の紹介、など非常に幅広く取材されている。
このコンクールの目的はスターを発掘する事ではなく、すでにプロの資質がある演奏家に対する、キャリア支援を行うことだそうだ。コンクールの入賞者には賞金のほか、演奏活動のためのマネージメントが3年間与えられる、コンクール自体もマスコミとの連携が深いという印象を受けた。
そして何より印象的だったのは、開催都市であるフォートワースの人々の、コンクールに対する情熱である。資金の援助からイベントの運営に至るまで、アメリカ国民の非常に利他的なボランティア精神という一面が垣間見られた。
演奏者が宿泊するのはホテルではなく、ホストファミリーと呼ばれるボランティアの家庭だったり、コンサート運営にかかわるスタッフたちの、ボランティアの域を超え組織化されたプロフェッショナルな活動に驚かされる、まさに神対応という言葉がピッタリだ。
コンクールの様子はとても臨場感あふれるレポートで、自分も会場に居るような感覚で読むことができた。本作を読む限り、今大会を経験した若きピアニストたちは皆、音楽のしもべとなっていずれ世界の舞台で大成することになるだろう、その日が来るのを楽しみに待ちたい。
辻井伸行さんが優勝した事もあって、コンクールの名前だけは知っていたけど、開催地がアメリカのテキサス州とは少し意外、なんだかショパンのカウボーイ姿を想像してしまった。作品では予選から本選までのレポート、出場者へのインタビュー、コンクールの歴史、イベントを支えるスタッフやボランティアの人々の紹介、など非常に幅広く取材されている。
このコンクールの目的はスターを発掘する事ではなく、すでにプロの資質がある演奏家に対する、キャリア支援を行うことだそうだ。コンクールの入賞者には賞金のほか、演奏活動のためのマネージメントが3年間与えられる、コンクール自体もマスコミとの連携が深いという印象を受けた。
そして何より印象的だったのは、開催都市であるフォートワースの人々の、コンクールに対する情熱である。資金の援助からイベントの運営に至るまで、アメリカ国民の非常に利他的なボランティア精神という一面が垣間見られた。
演奏者が宿泊するのはホテルではなく、ホストファミリーと呼ばれるボランティアの家庭だったり、コンサート運営にかかわるスタッフたちの、ボランティアの域を超え組織化されたプロフェッショナルな活動に驚かされる、まさに神対応という言葉がピッタリだ。
コンクールの様子はとても臨場感あふれるレポートで、自分も会場に居るような感覚で読むことができた。本作を読む限り、今大会を経験した若きピアニストたちは皆、音楽のしもべとなっていずれ世界の舞台で大成することになるだろう、その日が来るのを楽しみに待ちたい。