夢をもとうとか、夢を叶えようというお話は多いですが、これは「夢が叶わなかった、その後」のお話しです。努力もして、時間もかけて、それに人生をかけたとしても叶わなかった場合、それでも続いていくその後の人生で人は何を見るのか、というお話し。
でも、壮大な話ではなく、出てくるのはどこにでもいるようなおじいちゃんやおばあちゃん、自分のおじいちゃんたち。
やりたいことがうまくいかなかったりすると、何かのせいにしたり、他人を羨んだり、疎んだりしてしまいがちですが、どんな人にも、一人ひとりに人生があって、青春があって、語られない物語もあって、ということが語られていて、人がもつ物語の力ってすごいなと思った小説です。
そして、さわやか優しく書ききる作者の心の健やかさにとても救われました。
自分自身、亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんのことを思い出して、生きているときには全然話せなかったから、もっと話しておけばよかったと思いました。人の話を聞きたくなる、人を優しい目で見ることができるようになる小説です。
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