きょうから寝るまえの読書は、怪奇幻想小説シリーズ『ウィアード』2だ。タイトルを見て憶えているのは、ラヴクラフトの「エーリッヒ・ツァンの音楽」と、ブロックの「ノーク博士の謎の島」の2作のみ。この2作は傑作だった。
1作目は、H・P・ラヴクラフトの 「エーリッヒ・ツァンの音楽」ヴィオール弾きの老人の話だが、老人の音楽がいかに独創的なものであるかを文章に巧みに表していた。この作品は怪異なものではけっしてないが、ぼくが憶えていたとおりに傑作であった。
2作目は、フリッツ・ライバーの「蜘蛛の館」こびとから大男に変身した人物に、主人公たち夫妻は、もう少しで殺されかけた。大男は、巨大な蜘蛛を操って自分の兄まで虜にしていた。主人公の夫は火を使って巨大な蜘蛛の巣を焼き払い、サーベルで巨大な蜘蛛を殺した。大男は巨大な蜘蛛に殺された。
3作目は、オスカー・シスガルの「カシュラの庭」主人公は強力な催眠術師の妻に操られていた。そんな生活をやめたくて、妻を殺す計画を立てた。妻の飲む薬の壜に毒を入れておいたのだ。計画はうまくいったが、妻は夫の仕業だということを夫の口から弁護士に伝えるように催眠術をかけていたのだった。
4作目は、メアリー・エリザベス・カウンセルマンの「黒い石の彫像」彫刻家が主人公。主人公は下宿屋で、行方不明の冒険家と出合う。冒険家は、触れるとなんでも黒い石になる生物を隠し持っていた。彫刻家は冒険家を石化させ、のちにモデルとなる人々を石化させて、名声を得る。告白した手記を残す。
5作目は、ラルフ・ミルン・ファーリイの「快楽の館」二人称形式の物語。こびとの催眠術師に操られて、美女を抱く。美女も催眠術にかかっているが、助けてくれと言う。助けると約束するが、催眠術が解けて、その場所を忘れてしまう。
6作目は、フィッツ=ジェイムズ・オブライエンの「チューリップの鉢」妻を疑い、息子に財産を残さずに死んだ大富豪がいたが、この富豪は死ぬまえに霊を見たかのように空中に話しかけた。死後、富豪の家を借りた主人公たちが富豪の霊を見る。チューリップの鉢を指さす霊。そこに財産の秘密があった。
7作目は、ロバート・アーヴィン・ハワードの「死霊の丘」主人公はイギリス人の青年。アフリカで冒険をしている。魔術師から魔法の槍を受け取る。生ける屍どもと戦う。魔法使いが術を使って、主人公を助ける。
8作目は、グレイ・ラ・スピナの「三毛猫」主人公の女の子が寄宿舎で同室になった新入生の世話をするのだが、不思議なことが起こる。同級生の宝石が盗まれたり、猫に嚙まれたりした。新入生が猫になっていたのだった。新入生の乳母の黒人女のブードゥ教の呪いで、新入生は猫になっていたのであった。
9作目は、ソープ・マクラスキイの「忍びよる恐怖」はじめは鼠だった。つぎは猫や犬で、さいごは人間だった。つぎつぎと生き物を吸収して、その生き物にそっくりになる化け物がいた。主人公の医師はその生き物が滅ぶまでの経緯を書きつづる。ただし完全にその化け物が滅んだのかどうかはわからない。
10作目は、テネシー・ウィリアムズの「ニトクリスの復讐」ファラオである兄を神官たちに殺された妹のニトクリスは、つぎに女王に選ばれたのだが、神官たちを地下に招いて酒や食べ物で歓待した。そして神官たちを水攻めにして皆殺しにした。女王自身も民衆に殺されるのを厭い、みずからの手で死んだ。
さいごの11作目は、ロバート・ブロックの「ノーク博士の謎の島」ノーク博士はコミックブックのために、人間の言葉をしゃべる猿をつくったり、いろいろな実験をしていた。主人公は博士にインタビューするために島にきたのだが、嵐で実験場は潰れてしまった。主人公は博士の娘と結婚する。ブロックのこの短篇は傑作で、「ノーク博士の島」のタイトルで、『世界ユーモアSF傑作選1』でも読んでたし、アンソロジー『マッド・サイエンティスト』でも、「ノーク博士の謎の島」のタイトルでも読んでいた。
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ウィアード 2 (怪奇幻想小説シリーズ) 文庫 – 1990/8/1
H.P.ラヴクラフト
(著),
大瀧 啓裕
(編集)
エーリッヒ・ツァンの音楽,蜘蛛の館,カシュラの庭,黒い石の彫像 他
- 本の長さ346ページ
- 言語日本語
- 出版社青心社
- 発売日1990/8/1
- ISBN-104915333752
- ISBN-13978-4915333750
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登録情報
- 出版社 : 青心社 (1990/8/1)
- 発売日 : 1990/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 346ページ
- ISBN-10 : 4915333752
- ISBN-13 : 978-4915333750
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,364,845位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2003年4月29日に日本でレビュー済み
伝説のパルプ雑誌『ウィアード・テールズ』の傑作集の第2弾。今回のテーマや傾向を一言で言うのは難しいのですが、現実が根底から崩壊してゆく様を描いたものが多いです。モダンホラーなんて薬にしたくもないものが出て来るずっと前の、愛しい怪異の数々をお楽しみ下さい。珍しいところでは、若干16才のテネシー・ウィリアムズがヘロドトスから題材を採った復讐譚なんてのも。後年の作品からは考えられない様な仰々しい文体で綴られています。ブロックの作品はこれも珍しいスラップスティックなマッドサイエンティストもの。
収録作品は以下の通り。
エーリッヒ・ツァンの音楽(H・P・ラヴクラフト)
蜘蛛の館(F・ライバー)
カシュラの庭(O・シスガル)
黒い意志の彫像(M・E・カウンセルマン)
快楽の館(R・M・ファーリィ)
チューリップの鉢(F=J・オブライエン)
死霊の丘(R・E・ハワード)
三毛猫(G・ラ・スピナ)
忍びよる恐怖(T・マクラスキイ)
ニトクリスの復讐(T・ウィリアムズ)
ノーク博士の謎の島(R・ブロック)
巻末には1927.5-10月号の『ウィアード・テールズ』収録作品の解説と、それらの表紙が収められています。
収録作品は以下の通り。
エーリッヒ・ツァンの音楽(H・P・ラヴクラフト)
蜘蛛の館(F・ライバー)
カシュラの庭(O・シスガル)
黒い意志の彫像(M・E・カウンセルマン)
快楽の館(R・M・ファーリィ)
チューリップの鉢(F=J・オブライエン)
死霊の丘(R・E・ハワード)
三毛猫(G・ラ・スピナ)
忍びよる恐怖(T・マクラスキイ)
ニトクリスの復讐(T・ウィリアムズ)
ノーク博士の謎の島(R・ブロック)
巻末には1927.5-10月号の『ウィアード・テールズ』収録作品の解説と、それらの表紙が収められています。