著者は、外交には、軍事力を中心にしたものと、政治力を中心にしたものと、経済力を中心にしたものとがあるとした上で、日本は、アジアの多くの国に迷惑をかけた敗戦国として軍事力は使えず、政治力も使えない結果、ODAという経済力を中心に外交を進めることになったとしています。これは、東アジアの安定を考える時、日本外交のあり方を考える時に大いに参考になる分析上の重要な視点だと思います。即ち、今後とも軍事力に頼らず、ODAのような利他的なものに力を入れた経済外交を中心に据え、加えて、政治的能力も向上させて、近隣諸国と友好関係を維持・増進し、また、他地域の紛争等に関し、仲裁役を務める等、世界の人々から信頼される外交を展開することが重要であることが示唆されています。
確かに、そこに書かれている日本のODAの体制、金額等のデータはかなり古くなってしまいましたが、外交において軍事がかなり前面に出てしまい、東アジアの緊張が高まっている現在(2014年)、外交のあり方について示唆を与えるという意味で価値が高くなっていると思います。
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