音楽を中心に映画を解説するとすれば、どのような切り取り方、捉え方、語り口があるのかを知りたいと思い読んだ一冊。
章立てと内容は次の通り。
「第1章 映画の音楽」
映画のために作られた音楽について。
映画音楽が、ストーリーや映像とは異なる別の物語となりえることを、「デカローグ」の解説の部分で非常にわかりやすくまとめられている。
コラム的な挿話として「モーリス・ジャール インタヴュー」が載せられている。
「第2章 音楽としての意匠」
既存の音楽を映画音楽として使った作品の紹介。
ジャズ好きには忘れられないロジェ・バディム監督による「危険な関係」。その他「エクソシスト」、「黒猫・白猫」など。
「第3章 いま−ここにある音/音楽」
音楽ドキュメンタリーと映画の登場人物たちが自ら発見していった音楽を紹介した、とする。
エツィオ・ボッソの音楽が印象的だった「ミルコのひかり」。でも素晴らしいものはその音楽以外の様々な音だったことに気付かされる。ミルコにとっての音は音楽に等しく、そしてそれ以上のものだったことを再認識させられる。その他、「悲しみのミルク」など。
「第4章 サウンドスケープ/声/音」
自然音や人の声、あるいは音と音楽の境界について。
音楽というより風の音や湿り気を帯びた音、あるいは無機的な響きが、心の奥底にあるイメージや情感を魔術的な雰囲気で描き出した「鏡」。その他「エイリアン」、山村浩二のアニメーションなどについて。
「補遺 ソニマージュ ジャン・リュック・ゴダール」
ゴダールにとって映画音楽とは何で、それが彼の映画の中でどの様な意味を持ち、そして彼の映画音楽は何故記憶に残らないのか。
一つの章を二つの節に分けて説明しているが、分ける根拠が不明のものがある。また段組みに統一性が無い、索引が全くない、誤植と思われる部分があるなど、気になる点が多いが、あまりそうした事項に気を使って本を作っていない印象を受ける。
多くの人の心に残る有名な映画音楽は別として、既に見た映画に関して、そのサウンドを思い出し、それがどの様に映画に効果を与え、印象として残り、あるいは記憶として残ることに影響していたのかを振り返るには良い一冊だと思います。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
映画に耳を: 聴覚からはじめる新しい映画の話 単行本 – 2013/3/15
小沼 純一
(著)
小沼純一、待望の映画(と)の音楽の論考集。
約100本の、映画と音楽の豊かな関係。
映画音楽は死語になりかけている、
映画は何かもの凄く大切なモノを失いかけている。――岩井俊二
英語が話せない人にとっての洋楽は、
もうすっかり愉しみ尽くしたと思っていても、
まだ半分ぐらい、場合によっては半分以上、愉しみが残っている。
映画に流れる音楽を漠然と、美しいBGMとしてだけ聴いている人にとっての映画も、
また同じである。――菊地成孔
約100本の、映画と音楽の豊かな関係。
映画音楽は死語になりかけている、
映画は何かもの凄く大切なモノを失いかけている。――岩井俊二
英語が話せない人にとっての洋楽は、
もうすっかり愉しみ尽くしたと思っていても、
まだ半分ぐらい、場合によっては半分以上、愉しみが残っている。
映画に流れる音楽を漠然と、美しいBGMとしてだけ聴いている人にとっての映画も、
また同じである。――菊地成孔
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社DU BOOKS
- 発売日2013/3/15
- ISBN-104925064703
- ISBN-13978-4925064705
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
小沼 純一
1959年生まれ、早稲田大学文学学術院教授、音楽文化研究、音楽・文芸批評。1997年度、第8回出光音楽賞(学
術研究部門)受賞。「音楽文化」の視点から、音楽、映画、文学、舞台、美術など幅広い著述活動を展開。音楽誌、
文芸誌などに寄稿多数。主な著書に『オーケストラ再入門 シンフォニーから雅楽、ガムラン、YMO まで』(平
凡社新書)、『武満徹 音・ことば・イメージ』『ミニマル・ミュージック』『アライヴ・イン・ジャパン』(以上、
青土社)、ほか多数。訳書にミシェル・シオン『映画の音楽』(みすず書房・共同監訳)、マルグリット・デュ
ラス『廊下で座っているおとこ』(書肆山田)など。坂本龍一総合監修による音楽全集「schola(スコラ)」シ
リーズの選曲・執筆にも携わる。
1959年生まれ、早稲田大学文学学術院教授、音楽文化研究、音楽・文芸批評。1997年度、第8回出光音楽賞(学
術研究部門)受賞。「音楽文化」の視点から、音楽、映画、文学、舞台、美術など幅広い著述活動を展開。音楽誌、
文芸誌などに寄稿多数。主な著書に『オーケストラ再入門 シンフォニーから雅楽、ガムラン、YMO まで』(平
凡社新書)、『武満徹 音・ことば・イメージ』『ミニマル・ミュージック』『アライヴ・イン・ジャパン』(以上、
青土社)、ほか多数。訳書にミシェル・シオン『映画の音楽』(みすず書房・共同監訳)、マルグリット・デュ
ラス『廊下で座っているおとこ』(書肆山田)など。坂本龍一総合監修による音楽全集「schola(スコラ)」シ
リーズの選曲・執筆にも携わる。
登録情報
- 出版社 : DU BOOKS (2013/3/15)
- 発売日 : 2013/3/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 400ページ
- ISBN-10 : 4925064703
- ISBN-13 : 978-4925064705
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,041,919位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,011位映画音楽楽譜・スコア・音楽書
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年6月4日に日本でレビュー済み
このところ映画を見ていない。
最近は、映画でもテレビドラマでも、すぐ監督・演出家の立場になって分析を始めてしまい、それで見るのが煩わしくなった。
でもミュージカルのような、歌や踊りがある映画・芝居は好きだ。音楽のお蔭で分析的に考えることもなく、映画・芝居を純粋に楽しめる。
そのような私に、この本は映画に戻るきっかけをくれた。
実際にはそれぞれの映画はまだ見ていないので、また私の知識不足もあり、書いてあることの半分も理解できていないと思うが、読んでいるうちにそれぞれの映画を見たいと思わされてしまう。
ジャン・リュック・ゴダールの映画は昔よく見ていないので、あらためて見てみたい。エンニオ・モリコーネやモーリス・ジャール(これは音楽担当)の作品もだ。その他、その他。
小沼氏の前作「バカラック、ルグラン、ジョビン」でも同様に、映画に誘いこまれた。特にミュージカル映画「シェルブールの雨傘」や「ロシュホールの恋人たち」に。
だからこの「映画に耳を」もきっとそうだろうと思って手に取った。期待に違わなかった。
最近は、映画でもテレビドラマでも、すぐ監督・演出家の立場になって分析を始めてしまい、それで見るのが煩わしくなった。
でもミュージカルのような、歌や踊りがある映画・芝居は好きだ。音楽のお蔭で分析的に考えることもなく、映画・芝居を純粋に楽しめる。
そのような私に、この本は映画に戻るきっかけをくれた。
実際にはそれぞれの映画はまだ見ていないので、また私の知識不足もあり、書いてあることの半分も理解できていないと思うが、読んでいるうちにそれぞれの映画を見たいと思わされてしまう。
ジャン・リュック・ゴダールの映画は昔よく見ていないので、あらためて見てみたい。エンニオ・モリコーネやモーリス・ジャール(これは音楽担当)の作品もだ。その他、その他。
小沼氏の前作「バカラック、ルグラン、ジョビン」でも同様に、映画に誘いこまれた。特にミュージカル映画「シェルブールの雨傘」や「ロシュホールの恋人たち」に。
だからこの「映画に耳を」もきっとそうだろうと思って手に取った。期待に違わなかった。
2015年3月15日に日本でレビュー済み
映画とクラシック音楽好きの素人です。映画とそこで使われる音楽について書かれた書物は
山崎まどか「200CD&DVD 映画で覚えるクラシック名曲」
西村雄一郎「映画でクラシック!」
を読んだことがありますが,本書は,単なるお話でない硬派の「音楽論,映画論」が展開さ
れていて,勉強になりました。
ただ,最近Blu-rayで観直した「リプリー」の6'01"からバッハのマタイ受難曲,バスのアリア
Mache dich, mein Herze, rein わが心よ,おのれを潔めよ が流れますが,全く触れられていな
くて,バッハ好きの私としてはちょっと残念でした。
山崎まどか「200CD&DVD 映画で覚えるクラシック名曲」
西村雄一郎「映画でクラシック!」
を読んだことがありますが,本書は,単なるお話でない硬派の「音楽論,映画論」が展開さ
れていて,勉強になりました。
ただ,最近Blu-rayで観直した「リプリー」の6'01"からバッハのマタイ受難曲,バスのアリア
Mache dich, mein Herze, rein わが心よ,おのれを潔めよ が流れますが,全く触れられていな
くて,バッハ好きの私としてはちょっと残念でした。