「サーキットの狼」はとても70年代的な作品である。それは、60年代と80年代の過渡期的な作品である、という点において。風吹裕矢は両親は亡くしているけど、モデルの姉貴とマンション暮らしで、高校生のくせにロータス・ヨーロッパを乗りまわしている。“スポ根”文脈でありながら、ジョーや飛雄馬の“貧乏”がこの時点でリアルではないことがわかる。世の中は高度成長という垂直志向から、大衆消費社会という水平志向へシフトしつつあり、マンガに求められる物語も大きく変わりつつあった。
「サーキットの狼」が爆発的な人気を呼んだのは、公道グランプリ、流石島レースあたりの、いわゆるスーパーカーが公道を200キロでぶっ飛ばすっていう荒唐無稽な展開の部分だろう。“サーキットの”と銘打ちながら、裕矢が本格的にF1を目指してからは急に尻すぼみの展開となる。作者も編集者も、本当はもっと早く、サーキットを舞台にした本格レースマンガに移行したかったんだろうけど、スーパーカーに食いついた読者がそれを許さなかったと。読者アンケートが絶対の「ジャンプ」だし。街中でたまに目にするスーパーカーはもしかすると手が届く夢だったけど、F1はまだまだ遠景でしかなく、箱根でシャコタンと競うことは想像できても、海外サーキットでニキ・ラウダと競う実感は共有できないっていう。F1に移ってからはカラーページもガクンと減って、早瀬左近は犬死するし、F1の頂点まで行かない段階で唐突に終わっちゃった「サーキットの狼」だけど、これは時代のせいといってもいいだろう。
あと「サーキットの狼」までは、アメ車もイタ車もひとっ括りで“外車”だったのが、本作でポルシェ、フェラーリって固有名詞で語られだして、その中での“差異化”って概念が生まれたのは画期的だよな。中坊にとっては、ガルウィングでわかりやすいカウンタックがスーパーカーの代名詞だった訳だけどさ。
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サーキットの狼 1 コミック – 1996/8/1
池沢 さとし
(著)
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社マインドカルチャーセンター
- 発売日1996/8/1
- ISBN-104944017804
- ISBN-13978-4944017805
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登録情報
- 出版社 : マインドカルチャーセンター (1996/8/1)
- 発売日 : 1996/8/1
- 言語 : 日本語
- コミック : 280ページ
- ISBN-10 : 4944017804
- ISBN-13 : 978-4944017805
- Amazon 売れ筋ランキング: - 371,487位コミック
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2007年11月3日に日本でレビュー済み
2015年6月26日に日本でレビュー済み
風戸裕、河合稔、小川ローザをモデルとしたキャラクター。バンクでの事故死、など。
著者が見聞した1973、1974の夭折したドライバーたちが生き生きと動き出す。
最期はグランプリで本懐をとげるという見事な構成。
死んでいった者たちへの鎮魂。同時代を体験した迫真の力が、生き生きとした筆致で、荒唐無稽な展開を超える感動を呼び覚ます。名作!
著者が見聞した1973、1974の夭折したドライバーたちが生き生きと動き出す。
最期はグランプリで本懐をとげるという見事な構成。
死んでいった者たちへの鎮魂。同時代を体験した迫真の力が、生き生きとした筆致で、荒唐無稽な展開を超える感動を呼び覚ます。名作!
2004年2月13日に日本でレビュー済み
風吹裕矢が駆るロータス・ヨーロッパがとてもカッコ良かった。
非力な車なのにスーパーカーを次々とカモにする展開は鳥肌ゾクゾクして読んだ覚えがある。
今考えたらモデルの姉と二人暮らしの裕矢や、そのお友達が全て金持ち(スーパーカーを持っている)という設定に多少ムリを感じるが、車好きの登竜門となる漫画だろう。
四輪ドリフトをなぜか自転車で真似ていた頃が懐かしい。
非力な車なのにスーパーカーを次々とカモにする展開は鳥肌ゾクゾクして読んだ覚えがある。
今考えたらモデルの姉と二人暮らしの裕矢や、そのお友達が全て金持ち(スーパーカーを持っている)という設定に多少ムリを感じるが、車好きの登竜門となる漫画だろう。
四輪ドリフトをなぜか自転車で真似ていた頃が懐かしい。