はっきりいってこの著者が書くよりも、文中登場した傍聴マニアに
書かせた方がよっぽど充実した中身になったのではないか?
情報量の点でライターはマニアに適わないのだから、文章の質の点で
差異を出さなければならない。だが野次馬根性で「他人の悲劇」を
鑑賞しに行く自らへの客観的な視線をこの著者はあまりに欠いている。
たとえば強制わいせつ、強姦などの原告証言を生で聞けないことへの不満
、被害にあった女性自身による犯行の詳細な説明を聞いて「興奮した」
などといった発言。少年による集団リンチのうえ殺された子供の父親が
哀しみのあまり見ず知らずの著者に自分の心情を吐露した際の「数年
前の出来事なのに、いまだその気持ちは晴れないのか」という、あまりに
素朴すぎる感想。
そういう気持ちを抱くこと自体が問題なのではなく、この著者はそこから
なにかを考察するという姿勢に徹底的に欠けていることが問題なのだ。
フツーの人が傍聴に行く意味というのはそこの部分にあるのではないか。
まあ、著者は「昔は自分も痴漢をしようとして電車に乗ったが勇気がなくて
できなかった」とか「早朝の交通量の少ない道だったら、自分だったら
時速100キロ以上出して運転してしまうだろう」とか、モラルという点で
果たして純粋にフツーの人といえるかどうかは疑問だが。
この本は毎日ただで各地の裁判所内で行われているもの以上でもそれ以下
でもありません。
結果としてとても浅薄な傍聴体験記になってしまった。
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裁判長!ここは懲役4年でどうすか: 100の空論より一度のナマ傍聴 単行本 – 2003/11/1
北尾 トロ
(著)
- 本の長さ271ページ
- 言語日本語
- 出版社鉄人社
- 発売日2003/11/1
- ISBN-104990073037
- ISBN-13978-4990073039
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
裁判員制度を語る前にナマの法廷に足を! 殺人、強盗、覚醒剤…。東京地裁で繰り広げられるドロドロの人生ドラマから、実際に傍聴した著者が印象深かったものをピックアップ。『裏モノJAPAN』連載の書籍化。
登録情報
- 出版社 : 鉄人社 (2003/11/1)
- 発売日 : 2003/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 271ページ
- ISBN-10 : 4990073037
- ISBN-13 : 978-4990073039
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,815,185位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,220位司法・裁判(一般)関連書籍
- - 11,533位法律入門
- カスタマーレビュー:
著者について
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1958年、福岡県生まれ。フリーライターとして活躍する傍ら日本に「本の町」を作るべく活動中。長野県伊那市高遠町で、2009年よりブックフェスティバルを開催、好評を博す。また、2010年秋には“人生の役に立たない”ノンフィクション専門誌「季刊レポ」を創刊し、編集・発行人となる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『テッカ場』(ISBN-10:406276749X)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世の中、色々とマニアがいますけど、裁判傍聴マニアという人々を始めて知りました。
考えてみれば、裁判にはあらゆる、「悪意」が満ち満ちています。
「話せば分かる」とならないから、裁判に持ち込まれる、そして、その人間模様は、正に吹き溜まりというのが合っているのではないかと思います。
婦女暴行事件に、社会見学で女子高生が来たら、検察官・裁判長はノリノリで、被告に謝罪を求める。
検察に対してモノを申したいから、あえて裁判で戦う弁護士。
夫婦だった二人が、徹底的に憎しみあう。
正に人間模様の最後の線と思います。
神が裁くのではなく、人間が裁くのが裁判だとしみじみ感じた一冊です。
考えてみれば、裁判にはあらゆる、「悪意」が満ち満ちています。
「話せば分かる」とならないから、裁判に持ち込まれる、そして、その人間模様は、正に吹き溜まりというのが合っているのではないかと思います。
婦女暴行事件に、社会見学で女子高生が来たら、検察官・裁判長はノリノリで、被告に謝罪を求める。
検察に対してモノを申したいから、あえて裁判で戦う弁護士。
夫婦だった二人が、徹底的に憎しみあう。
正に人間模様の最後の線と思います。
神が裁くのではなく、人間が裁くのが裁判だとしみじみ感じた一冊です。
2005年7月21日に日本でレビュー済み
タイトル通り、内容は軽いです。著者もそのことを重々承知で、傍聴マニアやハッスルする裁判官などに話が向いています。自分が関係ない事件を端から見れば、誰もがこんな感想を感じるでしょう。それを本にした感じです。罪の重さや、犯罪に対する姿勢などを深く考えたいのなら哲学書などを読みましょう。この本はそのような本ではありません。ただ、
「傍聴しに行った人の感想とか」
が書いてあるだけです。娯楽本です。教養本では無いです。暇つぶしに読む本です。そして楽しめる内容です。
「傍聴しに行った人の感想とか」
が書いてあるだけです。娯楽本です。教養本では無いです。暇つぶしに読む本です。そして楽しめる内容です。
2003年12月16日に日本でレビュー済み
裁判所の中で繰り広げられる、やる気があったり、無かったりする被告、弁護人、検察官、判事のディープな人間模様。女子高校生が傍聴に来ていたりすると、ギャラリーを意識して白熱したりして。
巻末に収録されている傍聴マニアの方との座談会での、マニアの発言が印象に残る。「こういう事件を傍聴して家に帰ると、女房がテレビドラマなんかみてるじゃない。もう、バカじゃないかとね」現実、ナマのほうが面白いに違いないよね。傍聴に行って見なきゃと思わせる一冊。
巻末に収録されている傍聴マニアの方との座談会での、マニアの発言が印象に残る。「こういう事件を傍聴して家に帰ると、女房がテレビドラマなんかみてるじゃない。もう、バカじゃないかとね」現実、ナマのほうが面白いに違いないよね。傍聴に行って見なきゃと思わせる一冊。