50年代半ばのマイルスはどんどんうまくなっていき、同時に自己の音楽性の成熟度が増していった時期である。53年頃から徐々にスランプから抜け出し、54年には数々のセッションを重ね、レコーディングにも積極的にいそしむようになった。ここに聞かれるオールスターズ・セッションにはオリジナル・クインテット結成前夜のマイルスの自信に満ちた姿が記録されている。Walkin'は60年代のフリーブローイング時代に数多く演奏したブルースだが、スローテンポでじっくりと聞けるところが魅力だ。J.Jジョンソンやラッキー・トンプソン、ケニー・クラーク、ホレス・シルバーといったバップ時代からの名手が脇を固め、マイルスのトランペットは時に力強く、時にリリカルにBlue 'N' Boogie、Solar、You Don't Know What Love Is、Love Me or Leave Meといった名曲をハード・バップの萌芽を感じさせながら演奏している。40年代後半のマイルスを評して、個性はあるがテクニックが不足したトランペッターという烙印を押されてきたのが、まるでうそのような充実した演奏である。次々と脱皮を繰り返し、成長著しいマイルスの歩みを聴いて欲しい。
1954年4月3日・29日録音。 マイルスは不遇であった1950年代の初めプレスティッジに大変に世話になり、16枚のアルバムを残している。ざっとその16枚をあげてみると、 Miles Davis And Horns(Prestige7025) Sony Rollins With The Modern Jazz Quartet(Prestige7029) Lee Konitz & Miles Davis(Prestige8295) Dig(Prestige7012) Collector's Items(Prestige7044) Blue Haze(Prestige7054) Walkin'(Prestige7076)→本作 Bag's Groove(Prestige7109) Miles Davis And Modern Jazz Giants(Prestige7150) The Musings Of Miles(Prestige7007) Miles Davis And Milt Jackson(Prestige7034) The New Miles Davis Quintet(Prestige7014) そして有名な4部作 Relaxin'(Prestige7129) Workin'(Prestige7166) Steamin'(Prestige7200) Cookin'(Prestige7094) となる。 その中で本作はマイルス自身が過去のどん底の自分から立ち直り、起死回生の第一弾となったモダン・ブルースの名セッションだ。脇を固める面々も素晴らしい。ジャズを聴く上で絶対外せない名盤として推薦したい。
What a cracking album this is, short but perfectly formed at just 38 minutes it catches Miles in the era just before his classic quintet in two 1954 sessions and includes just five tracks - but what great tracks:
Walkin' Blue 'N' Boogie Solar You Don't Know What Love Is Love Me Or Leave Me
Engineered by Rudy Van Gelder, the sound is as clear as a bell and captures Miles back on top form. Joyous.