ジャコパストリアス・ギルエヴンス・スティング・ジョージクリントン・ブランドX・ジョーザビヌルなどのビッグネームと共演しているスーパードラマーの初リーダー作品。現代においてはデニスチェインバースとともに最高峰のひとり。近年はバークレーのアソシエートプロフェッサー・ドラムクリニシャンとしても活躍。現在ケンウッドの生徒が多数有名バンドで活躍しているらしい、それほどドラム界隈では影響力のある人物らしい。(6)Teen Town (10)Purple Rain 以外のほとんどの曲をケンウッドが作曲しているアルバム構成。録音メンバーはKenwood Dennard(ds) Marcus Miller(b) Hiram Bullock(g) Charles Blenzig(syn) Delmar Brown(syn) このアルバムの成立には複雑な事情がからんでいるそれはジャコパストリアスとマイクスターン。ジャコはマイクスターンとケンウッドデナードの3人でパワートリオを結成したかったが幻に終わったらしい。このアルバムは分類すればテクニックのひけらかし系デイブウエックルみたいなものではなく、高度な技はさりげに披露するにとどめ全体のアンサンブルを心地よいグルーブでひっぱりながらまとめあげるというアルバム。中心となるソリストはハイラム&デルマーで、ロックタッチ&シャープ&ブルージーなソロを展開,特に(10)における泣きのギターはお見事。マーカスもジャコに対するリスペクト曲においてレアなグルーブを出し、器用なミュージシャンデルマーもシンセサイザーソロをごりごり決めている。トータルで考えるとずばりドラムの教則本CDまたはマイナスワンCDとしてミュージシャンを目指すかたに最適かもしれない。デニスチェインバースのような雷ドラミングはこのアルバムには存在しないが、ニューヨーク系のこれだけ個性のとんがったメンバーが一同に集結してスタジオセッションを繰り広げているという事実がすごいのかも。そしてこのドラマーケンウッドは仏教徒らしく、ジャストというタイトルの楽曲が多いのも事実。これは彼の宗教観とも一致していることを示している。フュージョン版ジャストシステムとはまさしくこのかただったのである。ファンク系のドラマーを目指している方またはマーカスミラーのテクニックを盗もうとしているかた。またはピンク関連でデルマーブラウンのセッションアルバムを収集しているかたにはマストアイテムだろう。カリスマ性(ゼロか100かの人間)のあるリーダーが不在であるという事実を痛切に表現しているアルバムでもある。その点に留意して購入すればよいであろう。スタジオセッション以上でも以下でもない単なるプロフェッショナルなスタジオミュージシャンたちによるJust Studio Session Albumとはこのことである。(7)