私は「ファンキーなスラッシュメタル」が好きだ。
ここで言ってるのは、いわゆる「FUNK METAL」とは似て非なるもの。FAITH NO MOREやLIVING COLOURよりもリフがクランチーで、スラッシュメタル的な疾走感がちゃんとあるヤツ。一言で表すなら「ハネるザクザク!」だ。
ところが、この「ハネるザクザク!」は希少種だったりする。そもそもファンキーなリズムの才がなければできないし、FAITH NO MOREやRED HOT CHILI PEPPERSがバカ売れして以降は、スラッシュ的なザクザクを捨てて普通の「FUNK METAL」化して行ってしまったからだ。
じゃあ、実際に「ファンク・スラッシュ」ってどんな音?……となるのが以下4枚。私が勝手に「四天王」と思っていて、しかも「1990年3月〜1991年2月」という1年間に集中している。本家スラッシュ四天王で言うところの「Master of Puppets」「Peace Sells」「Reign in Blood」「Among the Living」みたいなものだ。
●1990年3月27日発売:SCATTERBRAIN「Here Comes Trouble」
●1990年4月10日発売:DEATH ANGEL「Act III」
●1990年7月3日発売:SUICIDAL TENDENCIES「Lights...Camera...Revolution!(※本作)」
●1991年2月5日発売:MORDRED「In This Life」
前置きが長くなったが、本作はそんな「ファンク・スラッシュ」極めつけ4枚のうちの1枚。上記四天王の中でもDEATH ANGELと並んで有名で、SCATTERBRAINと同様に1枚ずつ変化していった雑食バンド。「1st(ハードコア)→2nd(クロスオーバー)→3rd(スラッシュ)→4th(ファンク・スラッシュ:本作)→5th(オルタナ)→6th(クロスオーバー)」といった感じだ。そんな中で本作「Lights...Camera...Revolution!」はロバート・トゥルージロ(元METALLICA)のファンク色が注入された代表作。さらにファンキーなサイド・プロジェクトINFECTIOUS GROOVESも良いが、ザクザクとかっ飛ばす醍醐味を併せ持った「ファンク・スラッシュ」にこだわるならコッチだ。
これで「ハネるザクザク!」が気に入ったら以下2枚もお薦め。正調スラッシュで言うところの「四天王の次に聴くならEXODUSやOVERKILL」みたいな感じだろうか。上記4バンドと違ってファンク風味は1枚こっきりだし、ぶっちゃけ知名度も今いち。それだけに「四天王」との格差も否めないが、アルバムの出来自体はまったく負けてない。しかも、上4枚とまったく同じ時期。「時代が求めた音」という事なんだろうね。
●1990年11月21日発売:NAPALM「Zero to Black」
●1991年1月28日発売:WRATHCHILD AMERICA「3-D」