このアルバムが発売された時、Creeping Death がシングルだと知って何故?と思った。Fight Fire with Fire じゃないの?と。後にジェイムスがインタビューで”日本のファンはFight Fire with Fire を演奏してくれとリクエストが多いのが不思議だ”と答えていた記憶がある。NWOBHMをこよなく愛し、それをバックグラウンドにしているバンドとファンがスラッシュメタルの王道と見据えていたところに実はギャップがあった証拠がこのインタビューの答えの中にあると思う。だから、今ではライブでも欠かすことの出来ない名曲のCreeping Death でさえシングル発売に私は違和感を感じたのだ。
もちろんアルバム自体、1STが話題になったバンドは2NDはバンドにとっては生命線であるが、それを難なくクリア。曲構成も随分と錬られ、クトウルー神話も登場と進歩が見られ、なにより奇跡の3RDへとバトンを渡した重要な作品となった。アメリカではエレクトラ/アサイラムから再発され、晴れてメジャーレーベルバンドとなり、デイ・オン・ザ・グリーン・フェスティバルでの好演もこの時期であったし、その凄さは3RDの裏ジャケを飾ったことでも分かる。世の中はメタリカをスラッシュメタルの王者として迎えた(期待した)わけである。その後はご存じの通り、”ロックモンスター”となっていった。現在でも変わらず期待を裏切らないスレイヤーのような速い曲はやらないし、シングルのB面でバンドのバックグラウンドを徐々に見せてきていたのはこの時期からであった。ただ速い曲を演奏するバンドではなくなっていった訳だ。
蛇足で当時のフランス盤はジャケットを青ではなく、プレスミスで緑で発売してしまい、後に回収。プレミアものである。