今でも頑張っているEBTGだけど,20年前と今ではそれぞれ違ったよさがある。このアルバムは前期の集大成とも言えるもの。アコースティックが音楽の貴重になっているけれども彼らがこのあとに進むべき新しい方向性を感じさせるエッセンスがたくさん詰まっている。 1.When All's Well 2.Heaven Help Me 11.Trouble and Strife 12.Angel は秀逸。
アッパーで上昇感溢れるWhen All's Well、乾いたフォークロック感覚に分数コードの湿り気を上手に混ぜ合わせたAre You Trying to Be Funny?、よどみなく流れるBallad of the Timesの練られた旋律。Muzacに向かいそうで向かわない初期ETBGの中では最もアッパーな傾向をもったアルバム。
スタートから5作目ぐらいまで、EBTGは1作毎に切り口をまるっきり変え、(少なくとも3作目までは)それぞれにうぐぐ、まいったー!というくらい素晴らしいアルバムを提供し続けてくれた。これは一つにトレーシーの歌の存在感の強さもあるんだろうけど、恐ろしく器用でおたくなベンワットの懐の広さにもよるのでしょう。日本にもDCTとかいうすごいボーカリストとアレンジャーのデュオ(元はトリオ)がいるけど、こんな芸当はできないもんね。それはさておき、2作目はフォークロック!ノースマリン~から来ている僕なんかはおお!やってくれた!と思いましたね、WHEN ALL'S WELLを聴いた瞬間に。(そもそもベンもトレーシーもボサノヴァというよりフォークでしょ本来)この他にも12弦ギターの光るBALLAD OF THE TIMESやARE YOU TRYING TO BE FUNNY?。のちのディーコンブルーなどマンチェスター系に通じるTROUBLE AND STRIFEなど名曲がある。しかしながら僕の中で5つ星といかないのは前作を中途半端にひきづったSHOOT ME DOWNとかちょっと民族入ってみましたのSEAN。これまた中途半端なトレーシーのカントリーUGLY LITTLE DREAMSなんかがいまいちなのだ。どうせならもう少しアズテック並みにすっきりいって欲しかった。不思議なことにこのアルバムではベース・ドラムスのセッションミュージシャンもメンバーのように扱われ、4人組になっちゃうのかと思った。特に女性ドラマーがトレーシーよりも美人だった覚えがある(たいしたことないか)。しかし、ベンワット、エレキギターも最高っ!
その高い音楽性とは裏腹に、ジャケットはあまりにイマイチなEBTGですが、この2色刷りのジャケットは彼らの全史において奇跡のように素晴らしい。ソングライターのBEN WATTのコンポージングはボッサを基調としたものでしたが、このEBTGの2枚目のアルバムは思いっきりネオ・アコースティックな作品となっています。煌びやかにまぶしいギターの音色に彩られた楽曲が並んでいますが、BENがこの作品を後に「怒りのアルバム」と振り返ったように、その歌詞は時に赤裸々でアイロニカルで辛辣。不純物に対する疑念、それを一言で言い換えるなら「love not money」。