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![Flesh and Machine -Lp+CD- [Analog]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61sO2Sfe5xL._AC_UL165_SR165,165_.jpg)
デジタル・リバーブを安易に使わず、マイキングとエコー処理を複雑に組み合わせて独特の広がりと奥行きを表現するその手法で、数々のビッグ・アーティストの新たな魅力を引き出してきた名プロデューサー、ダニエル・ラノワ。自身もすぐれたソングライター、ミュージシャンであることを示した前作『アカディー』につづいて1993年にリリースされた2ndソロです。
彼のトレードマークである、既存のスタジオだけではなく邸宅や劇場などでの自然な残響を積極的に使った音作りが十二分に楽しめます。ラノワの渋いボーカルもなかなか魅力的ですが、やはり彼がつくる「音そのもの自体」が持つ存在感がとにかく圧倒的。マイキングから計算されつくしたひとつひとつのサウンド・パーツがいちいちかっこいいのはもちろんですが、なにより素晴らしいのはその絶妙な配置の仕方です。
遠雷のように響くエレクトリック・ギター、深い霧のむこうから不意にあらわれるボーカル、乾いたスネアドラム。すべてが有機的にからみあい、ひとつの心象風景がうかびあがる。自由自在に素材をあやつる音の魔術師・ラノワの手腕が全編にわたっていかんなく発揮されています。ロビー・ロバートソン的な(3)、U2を思わせるキャッチーな(9)やラノワ流ニューオリンズ・ファンクといったおもむきの(10)など楽曲も魅力的。近年のインスト作品から興味を持たれた方も十分楽しめる内容だと思います。ヤン・ソーデックによるジャケも1993年当時のオルタナ的な時代の気分をよくあらわしていてかっこよい。おすすめです。
「人間は、奥行きを心地よく感じる。遠くに聞こえる音は、差し迫った危険ではない。猛獣が遠くにいる場合、我々はリラックスできるようにプログラムされている。近くの音は静かで快適さを感じさせるだろう。たとえば愛の言葉の囁きのように。愛の囁きは雷が鳴っていても伝わるのだ。雷が遠くで鳴っている限りは」
ダニエル・ラノワ『ソウル・マイニング〜音楽的自伝〜』
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