1960年録音の“Genius+Soul=Jazz”と1970年頃録音の“My Kind of Jazz”の2 in 1 アルバム。ひとことで言って、これはアレンジを聴くアルバムだ。とくに前者のほうは。クインシー・ジョーンズとラルフ・バーンズが半分ずつ担当し、10曲中6曲がベイシー・バンド。ベイシーの席にレイ・チャールズがかわりに座った感じだ。残る4曲のビッグバンドもジョー・ワイルダー、ジミー・クリーヴランド、バド・ジョンスン、ロイ・ヘインズ等々じつに贅沢な顔ぶれ。
そういう恵まれた環境で、レイが思いきりジーニアスぶりを発揮するかと思いきや、意外におとなしい。オルガンもヴォーカルもいつも通りなのだが、あまり主役という感じがしないのだ。バックが凄すぎた?そうかも知れない。「レイ・チャールズを含むビックバンド」といったほうが実際に近い。はじめて聴いたときはあれれと思ったが、アレンジがとにかくかっこいいし、フランク・フォスターやフィリップ・ギルボーのソロも聴けるし、十分満足できる仕上がりだ。
“My Kind of Jazz”も趣向は同じ。ビッグバンドという額縁の中でレイがヴォーカルとピアノを聴かせるというもの。バンドメンバーのソロはこちらの方がはるかに多い。曲目はどちらもジャズファンをターゲットにしているように思えるが、どうだろう。ソウルファンの方、サンプルをクリックしてみて。