皆様書かれているように色々な美点がある傑作ですね。私的にはchickのピアノに尽きます。
今回は珍しくベーゼンドルファーのキレと深みのあるピアノが聴けますが、その影響かchickのフレイジングはいつもより更にchickらしくはしゃぎ、おどり、うたう。
この人は音のイメージを3次元的なマテリアルで捉えるから、誰にも増して立体感と深みを伴っているのが強みだと思ってるのですが、ここでは素晴らしいメンツといつもと違う楽器もあり、いつも以上に素晴らしいソロを展開していると思います。弾きまくってるわけではなく、むしろ音数は絞って、一音一音が重く、深く、立体的です。こんなソロ、未だに他では聞いたことがない。宇宙語。
ちなみにこのアルバムを聴くとソロピアノアルバムの「solo from nothing」を聴きたくなります。彼の核がわかります。かなりアバンギャルドですが、普段のキャッチーなブレーズの裏にすらこの核が潜んでるよな、と気付きます。
three quartetsではその核が割と表に出てる方だと思います。この核、持ってる人いないんだよな。
私にとってはchickが根っからのオリジネイターだと再認識するアルバムです。