1970年3月、スウエーデンでのライブ録音 L:Soul Note P:George Russell
ジョージ・ラッセル率いる北欧セクステット(tpのスタントン・デイヴィスはアメリカ人)の
スウェーデンでのライブ録音。全体としてかなりフリーキーな尖った演奏。それぞれが自由に
演っているが、ジョージ・ラッセルなので、かなり理詰めな印象。
ヤン・ガルバレクがキース・ジャレットに見出され『Belonging』をレコーディングする4年前。
ガルバレクは一聴してコルトレーン寄りで、キースのヨーロピアン・カルテットの音色とは異なる。
そこは彼の変遷を知る上では役に立つ。ラッセルはガルバレクのことを、「ジャンゴ・ラインハルト
以来、最もユニークなヨーロッパのミュージシャン」と高く評価している。バンドの他のミュージ
シャンについても「北欧出身者だがハーレムのど真ん中で産まれたように演奏する」と語っている。
7曲中、ラッセルとガルバレクの曲がそれぞれ3曲、ラストにオーネット・コールマンという構成。
このM7「Man On The Moon」はアルバム中最長の演奏時間で、聴き応えがある。復活後のマイルス・
バンドのように緊迫して、自由で、盛り上がっていく。
ライナーノートはナット・ヘントフが書いていて、ラッセルのインタビューも掲載されている。
そこでラッセルはアルバム・タイトルの由来や、ジャケットに使ったマイナー・ホワイトの写真に
ついても言及している。特にホワイトのモノクロ写真は、ラッセルの音楽と響き合うようで、厳しく、
整理され、ストイックな美しさと強さを持っている。