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ブロードウェイ・リバイバルのクリエイティヴな掃除機に映画化が吸い込まれていくと、ハリウッド・スターの車が『Rent』を乗せてやってきた。不法占拠者、ジャンキアー、パフォーマンス・アーティスト、苦しむミュージシャン、ドラッグ・クイーン、才気煥発な映画監督、そしてHIVポジティヴたちの物語だ(また、あなたは『Miss Saigon』のヘリの着地場はクールだったと思うだろう)。1996年に起こったポップ・カルチャーの中で間違いなく重要な事柄、『Rent』はすでにトニー賞の4部門とピューリッツァー賞のドラマ部門で受賞している。さらに重要なことは、この作品がブロードウェイの活気を取り戻すきっかけになったことだ。 プッチーニの百周年記念オペラ、『ラ・ボエーム』を現代の“ボヘミア”に置き換えて――19世紀のパリの左岸が、20世紀後半のニューヨークはイーストビレッジとなり、結核の流行はエイズの流行に変わっている――、『Rent』は若者、病を抱えた物、そして型破りな者たちの生活を賞賛している。ブロードウェイのショーは伝統的な描写の場でないが、過小評価されていた才能ある作曲家で舞台が始まる数日前に36歳で亡くなったジョナサン・ラーソンは、生き生きとした登場人物を造型し、アベニューAを42丁目にぐっと近づけている。そして、将来的な保証のない(つまり、“レント”、賃貸暮らし)社会的に問題のある生活を語ることで、ラーソンは自らをジェネレーションXだと定義している。謙遜して言っても、『Rent』は90年代の『Hair』だ。私たちの大部分はすぐに『Rent』を見ないとしても、このオリジナル・キャストのレコーディングは、観劇後の土産物以上の価値がある。完全なリベット付き、2枚組のCDは良くできたパッケージで、生の舞台とは別にアルバムのほうも、聞いて欲しい。楽しくて、キャッチーで、ひらめきに満ちて、心揺さぶられ、ヒップで、しかもお涙頂戴ではない曲が満載の『Rent』はショーらしいポップと、ロック、R&B、ダンス、ゴスペル、タンゴの要素をミックスし、今年のベスト・アルバムの1枚に――この数10年のロック・オペラとしは間違いなく最高の1枚に仕上がっている。まさしく“ボヘミアン”な1枚。(Roni Sarig, Amazon.com)