このCDはデビュー盤だったと思うが、初めて聴いた時は驚いた。
ダイアルシリーズでチャーリー・パーカーのソロの凄さは聴いて知ってはいたが、それがアンサンブルとなって再現されるなど当時は考えてもみなかった。
ビッグバンドの演奏を聴いて一曲の中でサックスセクションのアンサンブルのソリは何回も聴いた事があるが、それがパーカーのソロのアンサンブル化となると話は別だ。
このCDではバックにトランペット+トロンボーンセクションが加わっているので実際はビッグバンド風に仕立てられているが当然メインはサックスセクションで、その流麗で超絶技巧は目を見張るものがあると思う。
ジャズ好きの人の中には「パーカーを冒涜する」との意見もある様なのだが、これは一つの実験とするとかなりレベルの高い成果が出ているのではないだろうか。
今20年以上経過して再度聴き直しても矢張り実験の成果としてかなりのハイレベルなものが表現されている様に思う。
彼等が日本に来た時には仕事を休んで付いて廻り、本職を危うくクビになりそうになった思い出があるが、当時としてもかなり精度の高いリハーサルや本番の出来を今思い出してもあの行動は決して間違いではなかったと確信している。
この盤より更に実験的試みは次々にリリースされたシリーズを聴けば理解出来るのだが、偉大なプロが集まって訓練を重ね一つの作品を作り上げる事の凄さを見た思いがする。
ジャズのレコーディングの場合、緊張感を出す為にぶっつけ本番的な演奏が多い中、このグループは練習に練習を重ねて録音に臨んだとライナーノートに書いてあったが、それが各々の作品の昇華度を高めていると思う。
現在再度聴いても充分に感動出来る演奏の数々だと感じる。