50歳を越えてからはなるべく大音量のロックは聴くのはやめようと、ほとんどの音源は売り払ってしまいましたが、それでもどうしても過去に好きだったR.E.M.を買い戻したりしてしまいます。
Björkも好きで集めていたのを手放してしまったのですが、なぜか(なぜかって、名曲に違いないからですが)「joga」が無性に聴きたくなって、この6曲のボーナストラック付きの盤を中古ショップで見つけ格安の値段で購入しました。
「joga」の別ヴァージョン2曲聴けただけでもほぼ大満足なのですが、オリジナルアルバムの方の完成度の高さもまた納得できた次第です。こうした最新のテクノロジーを使って独自の音楽を創った人では、Peter Gabrielが私の好みでした。彼の場合には、世界各地のリズムを取り入れた重厚で神秘的な音響の中に、どの人間の魂にも等しく届くような音楽を誠実に希求しています。一方でBjörkは、西欧的な感覚からは少し隔たっていて極めて新鮮であるとともに、電子的技術も弦楽器のクラシカルなアレンジも、すべてが彼女個人の「感情的風景」を展開させるために協調しているのが驚きです。
しかし、一聴すると個人の心象風景と思えるものも、何度も聴いていくうちに、それこそ人間の心臓のレベルで訴えかける普遍性を持っていることが分かります。彼女は私と同じ年生まれで、そういった点でも共感できる所があるのかも知れませんね。非常に複雑な時代を生き抜くための、ある種の野生的な強さに脱帽です。