98年発表の15作目。過去の代表曲(1.のみビートルズの曲)を60人編成のオーケストラを迎えてリレコーディングしたある種の企画盤的作品。指揮者としても参加しているラリー・ベアードの協力で編曲や試演奏などで6ヶ月もの準備期間が設けられているそうだ。メンバーのクレジットがないが、ジャケットの写真を見る限りでは5人編成になっている模様。
1.のビートルズ曲は原曲のイメージを壊すことなくよりドラマチックにスケールを大きくアレンジされており、この一曲で本作の魅力が伝わるようになっているように思う。ヴォーカルとバンド、そしてオーケストラのバランスが絶妙でまとまりという意味でも非常に優れており、この種のものとしては一目置くべきものを強く感じさせる。2.は彼らの代表的なバラードで好きな人も多いと思うが、ほぼ原曲をイメージを壊すことなく原曲にオーケストラを追加したようなアレンジになっている。正直全く違和感を感じないのはこの曲の好きな者にしてみればかえって好印象なのではないかと思う。3.はオーケストラのみのほぼクラシック。彼らの楽曲の質の高さが伺える。
原曲のイメージをあえて壊して新しいものにしようという作為的な部分が感じられないのは後ろ向きという見方も出来ようが、聞いた印象ではそういった見方は不可能なほど楽曲/演奏が生き生きとしている。メンバーのみならず編曲に関わったラリー・ベアードのカンザスに対する愛情が嫌が応にも伝わる作品である。