これは手放しで良いです。そういうことを書くのは、あまり好きではありませんが、全19曲どこまで行っても「ああいいなあ」という心地よさが続いていったので、そう書かざるを得ません。単にフォーキーとか牧歌的とか、そういう表現だけでは伝えきれないヘロンというバンドだけの魅力というのが確かにあります。それは何なんだろうと考えると、非常に難しいのですが、頭でポンポンと思いついたことを書くと、一つはここにはアシッドだとかサイケだとかの感触は皆無な優しさ溢れる音でありながら、どこかこの世のモノとは思えない清浄された空気があり、フォークの湿っぽさみたいなものがありません。囁くようなボーカルとドラムレスのフォーキーなサウンドは、ただただ美しさと優しさを聴く者に与えます。この感じは、そうそうないと思います。
なおこのアルバム、ベストですが、全て1970,71年の音なので、非常に一貫した流れがあり、聴いていてベスト的なごった煮感がないのも、良いです。一枚のアルバムとして、とてもスムーズに聴くことができました。