1972年リリース、イスラム暴走プログレ/ハード・ロック最高峰との呼び声が高いジェリコ(カナダ出身の同名異バンドが存在)の唯一作「Jericho」は1990年に初CD化されていますが、有名どころと比較して何ら遜色ないクオリティを誇り(場合によってはそれ以上である!!)、先見の妙があったにも関わらず、残念ながら当時は万人受けする事がなかったのでしょう…本作品が全く注目されなかったのは信じられません。
前身チャーチルズは渡英後にジェリコ・ジョーンズと名乗り、バンド改名する度に逞しくパワーアップを図っただけではなく、幻の英国マイナー・ハードの埋もれた名盤で片付けるには実に惜しい内容であり、切れ味鋭くアグレッシヴに炸裂するワウなギター、ヘヴィ且つ綿密に計算されたゴリゴリのサウンドで押し捲るオープニング・ナンバーから圧巻の一言です。
「Ethiopia」
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前身チャーチルズ結成が1965年の実力派は、翌1973年を期に地元イスラエルへ帰還したのでしょうか…?!ジェリコ・ジョーンズ(Jerico Jones)名義で現在もライヴ活動を行っていますが、本作品はブルーズからの影響を余り感じさせませんし、初期の頃に見せたサイケ色も完全に払拭しており、哀愁を帯びたマイナー・コード進行の旋律と枯れたヴォーカル、静と動を繰り返すデヴィッド・ギルモア風のギターに、ピアノの調べとストリングス導入がドラマティックに演出する様式美は一聴にして名曲と言えるでしょう。
「Justin And Nova」
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