92年発表の4作目。ホワイトスネイク~エマーソン、レイク&パウエル~フォース・フィールド~ゲイリー・ムーア~ブラック・サバスなどビッグ・ネームのグループを渡り歩いて前作より約9年ぶりに発表された作品。スティーヴ・メイキン(g)、ニール・マレイ(b)、ジェフ・ニコルズ(k、prg)、ブライアン・メイ(g)、ドン・エイリー(k)、ジェイミー・ペイジ(g)、ジョン・シンクレア(b)、ジェリー・レーン(vo)、スティーヴ・ルカサー(g)、ビリー・シーン(b)、ジョン・ロード(org)、フォース・フィールドの同僚、レイ・フィンウィック(g、k、prg)、ジョン・ディーコン(b)、スティーヴ・メイキン(g、b) ら豪華メンバーを迎えて制作されているのはいつもの通り。今回は全10曲中2曲がヴォーカル・ナンバーである。ちなみに本作が生前最後のソロ・アルバムとなった。
1.はどこか歌謡曲のカラオケのようなインスト曲だが、よくよく考えて見ればコージーのドラムスを中心に据えているので他のリード楽器が目立たなくしてあるのだろう。アクセントに入るオーケストラ・ヒット級の激しいパーカッションなども聞きどころだが、ドラムを中心に据えたインスト曲としては非常に親しみ易い仕上がりとなっており、かつそのプレイを細部まで満喫出来る一曲である。2.は一変してハードなギターを中心に据えたメタル・フュージョンとも言える佳曲。泣きのフレーズを織り込みながら弾き倒すギターに非常に安定したドラムスで応戦する。ベードラの連打でここまで安定するのはコージーの面目躍如といったところだろう。3.はきらびやかなかつ、クラシカルなシンセによるイントロからして聞き物だが、一変してアッパーなハード・ロック・チューンに変化する。どこかグラム・ロックの匂いも感じられるヴォーカルはインパクトも大きく、一変して華やかさが加わる。4.はデジタル・シンセを中心にしたオカルトっぽいイントロを含めてジェネシス~スティーヴ・ハケットを思わせるインスト曲で、ギターもかなりそれっぽいのだが、それを弾いているのがスティーヴ・ルカサーというのが目から鱗だった。彼は想像以上にプログレ好きなのだろう。曲はコージーとドン・エイリーの共作でキーボードもエイリーだが、ピアノにジャズっぽさを感じさせるものの、シンセなどのプレイはほとんどジェネシスである。
売るためにはヴォーカル・ナンバーがもう少しあっても良いか・・・とも思うのだが、メインであるインスト曲の完成度の高さは尋常でなく、間違いなく想像を超えるだろう。何よりもジェネシスの系譜を持った英国プログレ路線の楽曲が本作の目玉である。ちゃんとドラムスが抜けるようにミックスされているので彼のプレイの細部まで楽しめるが、職人揃いなので壮絶/名演の嵐である。必聴盤。