本作はアラン・ゴウエンが白血病で亡くなる直前に制作された、カンタベリー・ロックを聞く人にとってはスーパー・バンドといっても良いメンツの集まって制作されたアルバム。
個人的にはギルガメッシュの2枚目よりも好きで、カンタベリーの美音追求志向の4人が、それぞれそのプレイの最も美しい部分を寄せ合った様な質感だ。特にナショナル・ヘルスではさほど見えなかったアランとフィルの相性の良さがデリケートなリズム隊によって繊細に昇華されていく様は感動的。
ハットフィールド&ザ・ノースの様な計算された構築は無いが、それぞれがリラックスした中で自然な「音楽」を生み出した傑作です。聞き返す度何度も音色にハッとさせられ、根っからの音楽家アラン・ゴウエンの居た素敵な世界の中への旅に誘ってくれます。
追記:ちなみに、カンタベリーの対極にあるようないわば「野獣派」の4人が集まったセッションアルバム「Cruel But Fair」と聞き比べてみるのも面白いかもしれません(笑)