凶暴さでは次作の「Jericho」ですが、むせかえるような抒情性で聴かせる音です。時代はサイケデリックということになろうかと思います。ところがボーカル、ダニー・ショーシャンという人の表現力が優れていて、ユダヤの受難劇を聴かされているような敬虔な気持ちになるのです。それが一番表れているのが8. Junkies, Monkeys & Donkeys というダルなブルーズ曲です。「Jericho」のような凶暴さを期待する向きにはディープ・パープルも青くなりそうな9. Time Is Nowが あります。
メジャー・シーンに浮上できなかった割には演奏は達者です。同時代の英国アンダーグラウンドのバンドと比較しても強烈な個性です。感謝しなくてはならないのは、CDになったことによって知られるようになったこと。わたしは70年代にかなり音楽雑誌を買い込みましたが、このバンドの記事に当たったことはないです。11. Mama's Gonna Take You Home に聞き覚えがあったので調べたら、ジョーディーの曲ですね。こちらがオリジナルとは、びっくりしました。