2022年10月現在、このアルバムのリリース33周年を勝手に記念して、人知れず今さらレビューです。
前作に当たるデビュー盤ではプロデューサー・チームによる提供曲を演奏していた彼らですが、こちらのセカンドでは全ての楽曲で自らペンを振っています。そして驚くことに、その楽曲のクオリティの高さが半端ないのです。いわゆるUS産の起承転結が分かり易い素直なコード進行のポップスではなく、UKの土壌を感じさせる独特な展開が「らしさ」を引き立てています。彼らの音楽的素養がどういう形で育ったのかかなり興味深いところですが、単なるセンスだとしたらこれは驚愕です。このBrosというバンド(ユニット?)の活動期間が短かったこと、そして音楽家として現在も活動を続けているMattではありますが、あまりにそういった面での資料が無いのが残念です。扱いがアイドルだったので致し方ないものの、彼らの音楽家としての側面にもっとスポットが当たるべきです。
正直、どこまでLukeのドラミングなのかは不明ですが、トラックが全体的に(打ち込みを含め)タイトになり、前作ではダンス・ミュージック寄りのキャンディ・ポップだったものが、今作ではロックの要素も程よくブレンドされ、大人の男の色気を纏った進化を経たのが好印象です。Mattのヴォーカルに関しては、よりMichael Jackon化が進み力強さ増し増しですが、もう少し押し引きの「引き」もあった方が通しで聴いていて心地良いかとは思います。とはいえ、ヴォーカル・ピッチを修正しまくりの人工的なヴォーカルが当たり前に蔓延る現在の音楽シーンと比べたら雲泥の差で上手いのは言うまでもありません。
最後にLPでは、このアルバムからの3rdシングルである「Sister」で終わるのですが、CDでの「Life's a Heartbeat」までトラック・アレンジメントが完璧だということも加えておきます。(「Sisrter」のカップリング曲としてリリースされた「I'll Count The Hours」をバッサリ切り捨てて収録しなかった清さに乾杯!12曲収録はアルバムとして無駄に長いです。)