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舞台恐怖症に悩むフロントマン、アンディ・パートリッジが1982年のUSツアーで失敗して以来、「XTCのライヴ」という言葉は矛盾語と化してしまった。ツアーやライヴ音源のリプロデュースという重荷から解放されたXTCは、その後の5作のレコーディングを自分たちらしいサウンド(厚みのあるピアノ、ストリングス、それに、ぎくしゃくしたコード・チェンジとがなりたてるようなヴォーカルがつきものの、いわく言いがたいハーモニー)で飾り立てた。『Transistor Blast』は、初期のXTC、すなわちイングランドのスウィンドン出身で、「チェロ」のスペルすら知らなかった4人組のポストパンク・バンドをたっぷりと楽しめるセットだ。
ディスク3には、「Life Begins at the Hop」や「This is Pop」など、初期のシングルに収められていた1978~79年のライヴ・テイクをフィーチャー。同時に、「Danceband」や「Neon Shuffle」のように、比較的知名度が低く、また聴きやすいともいえないものも選ばれている。ディスク4は、バンドが1980年にハマースミス・パレスで繰り広げた伝説的なショーを再リリースしたもの(UK盤としては今回が初リリース)。ダイナミックで休むことを知らないライヴ・バンドだったかつてのXTCをもっとも雄弁に物語っている。ディスク1と2は、初期作品とそれ以降の作品の橋渡し役を果たす。BBCラジオのためのライヴ音源から取られた26のトラックは、年代別に並べられてはいないが、よどみのない流れとなっている。あの手の込んだアレンジやドロドロしたプロダクションがないため、1986年の「Another Satellite」も1978年の「I'm Bugged」と違和感なく並んでいるのだ。(Bill Crandall, Amazon.co.uk)