ハイラマス4枚目のアルバム。(98年作)
2nd「ギデオン・ゲイ」で発明したオーガニックでたゆたうようなサウンドが、途切れなく続くサウンドスケープというコンセプトを極めたのが、この「コールド・アンド・バウンシー」である。またこのアルバムの特徴として、最もエレクトロニックな作品ということも挙げられる。とはいっても、ジャケットに描かれる電信柱と電線が表しているように、あくまでもそれはレトロな電子音と言えるもので、どこか懐かしさすら覚えるピヨーンピヨーンとした音がどこともつかない新たな不思議の国を生み出すのに役立っている。
それにしても、前作の「ハワイ」も大作であったが、「ハワイ」はどこか冗長というか、曲単位でのインパクトはあまりなかった。しかし、今作は同じくらい大作であるのだが、途切れなく続く1曲1曲が実に良いメロディで、耳に残るフレーズが多い。これは、結構すごいことで、アルバムのハイライトと呼べる部分がきちんと成立していて、一気に聴いても長さを感じさせない。
次作は、一転、電子音を排除し、曲もきっちりと区分けしてきて、よりメロディの美しさは極まっていく。その路線は、今も続いており、現在の最新作である「ビート・メイズ・アンド・コーン 」では、全くエレクトリックな部分を使わず、桃源郷的要素が、より一層深まった内容となっている。それが2003年であるから、その後、かなり時間は経っている。
僕個人が期待するのは、この辺で、1stのような純粋ギターポップ・ナンバーをバンドサウンドで録るか、もしくはエレクトロニックな要素だけで、アルバムを一枚作って欲しいということだ。
メディアでは、どうも緩やかな変化に、金太郎飴状態という評価を下す批評も多く、彼らを驚かせるくらいの、また本人たちも冷や汗を掻くくらいの急激な変身をしてくれたら、やはりおもしろいと思う。