ウェブプレーヤーを開く
Ｊ．ゾーンの主宰レーベルTZADIKより発表されたソロ名義による初作。
全１２曲が八木の自作曲で、琴によるソロパフォーマンスが収録。
八木のことを知らない人、あるいは聞いたことの無い人に、彼女の音楽をどう説明したら良いだろう。まず取り払うべきは、琴という楽器にたいする私たちのプロトタイプ化したイメージ～正月にテレビやデパートの店内に流れているそれだ。
彼女は、何種類（弦の数が異なる）かの琴をジーンズ姿で、あるいはボディコンシャスのスーツ姿で立って演じる。楽曲は、極めて創造的な即興音楽であり、同時に日本の伝統音楽の幽玄美をも感じさせる。
ＣＤの帯に八木の音楽が、日本の伝統音楽とアメリカの現代音楽家（ケイジ、ナンカロウ他）からの影響がある旨書かれている。これはそうだろうが、
私の感ずるところは、ちょっと違う。八木の奏する琴の音色に、この楽器の遠い祖先のことが思われてならない。物理的広がりと、悠久の時の流れが感じられるスケールの大きい演奏集だ。
