ジャズ・トランペッターであるドン・チェリーを父に。
リップ・リグ・パニックのメンバーであったネナ・チェリーを姉に。
そんな、才能の塊のような男のファースト・アルバム。
北欧はスウェーデンで生まれ。
2004年現在、北欧と言えばストレンジ・ポップや
ネオ・アコースティック、エレクトロニカを導入したポップス、
などの作品が多く発表されているが、
1998年に喝采を持って迎えられたこの作品には、
ブルースへの憧憬が溢れている。
スライドされるギターにはブルースの血が宿り、
ハスキーな歌声にはソウルがたっぷり込められている。
ヨーロッパの国々で一位を獲得した「Save Tonight」も、名曲。
こんな名曲を一曲目にすると、アルバムが尻すぼみになりそうな
ものだけど、他の楽曲のクオリティの高さで、
アルバムの統一性を保っている。それは似たような曲を
集めるのではなく、隙間たっぷりのブルース・ソングや
バック・ボーカルも入れたゴスペル絵巻など、多彩な楽曲を
ポップスという鍋で煮込むことによって素晴らしいメロディを
鳴らしている。メロウな名盤。