私は、従来のジュスマイヤー版からあまりかけ離れた演奏はどうしても好きになれません。
そもそもモーツァルトの死後、事情はどうあれ、彼の死を悼んで『同時代の』に生きた(何人かの?)作曲家がレクイエムを補完したという事実は動かしがたい史実であり、後世の音楽家がどんなに研究してこれが真のモーツァルトが作りたかった音楽だといきまいてみても、、、やっぱりすごく違和感があるんですね。
というわけで、ジュスマイヤー版に近いアプローチをしたロバート・レヴィン版のほうがよっぽどオススメです。
併録されている、『フリーメーソンの葬送音楽』と『アヴェ・ヴェルム・コルプス』にはさまれる構成が、なおいっそう、モーツァルトの実際のオーケストレーションの素晴らしさと、現代の編曲版のオーケストレーションのいやらしさを際立たせる結果となり、いっそのことレクイエムのみの収録だったら、、、と思うほどです。