ウッズの50年代というとジーン・クイルとの双頭クインテットを思い出すが、これはワンホーンのクァルテット。ピアニストはジョン・ウィリアムスで、テディ・コティック、ニック・スタビュラスという名手が名を連ねる。録音は1955年、エンジニアはルディ・ヴァン=ゲルダー。ウッズのリーダー作としては初のワンホーンアルバムだった。 演奏はこの時代の白人ハード・バップの典型。エモーショナルでメロディアスな、いかにもウッズらしいソロが満喫できる。とくにタイトル曲“Woodlore”や“Slow Boat to China”のスウィング感、表情の深さと多彩さは、かれが若い頃から優れた表現者だったことを示す。ピアニストはあまり目立たないが、ハード・バップ系のなかなかシュアな演奏だ。のちのアルバムでも共演しているコティック、スタビュラスの二人はさすがにうまい。センスのよさが感じられる。