これは再発で、オリジナルは1997年に出ています。
内容は、クラブジャズ系のレーベル・ファーアウトからの第一弾で、長い沈黙から復帰した彼がまだまだ現役で新鮮な音楽を生み出せることを証明した作品です。ファーアウトのレーベルカラーに沿ったクラブジャズっぽい音とマルコス・ヴァーリのソングライターとしての資質がうまく噛みあっていて、非常にアーバンな音が聴けます。ボーカルも全く衰えを知らないといった感じで若々しいです。これ以降、順調にファーアウトから作品を出していくわけですが、作品を出すごとにクラブジャズ色が強くなるのに対して、この作品ではかつてのまろやかなボサ・ノヴァの曲もあり、中には日本への敬愛を込めて歌った「MUSHI MUSHI」という曲もあります。この曲、本当は「もしもし」という日本人の電話の応答の響きが好きで書いた曲らしいのですが、「むしむし」になっていて可愛いです。この曲の歌詞中では「くずきり」とも歌っていて、かなり微笑ましい気持ちになれます。
そんな楽しさも詰まった作品ですが、音楽のほうはさすがの一級品になっています。