オリジナル2作品のカップリングのうち、後半にあたるelvinとphilly joeの競演“together!”ですが、ここの1曲目“le roi”は面白いことにdave baker作曲とあり(おそらくあのgeorge russell groupのトロンボーンと同一人物)、アップテンポのマイナー調で稀な美しいメロディを持っている。どこか欧州ジャズを思わせる陰影感がたまりません。
全曲でphilly joe(右チャンネル)とelvin(左チャンネル)が同時にリズムキープをし、ソロの掛け合いも団子状態にはならず、端整といってよいアンサンブル作品になっているのがポイント。…しかし、実は一番の聴きどころがpaul chambersのランニングなのです。
特に最初の“le roi”で長めのテーマの後mobley〜curtis fuller〜wynton kelly…とソロが続きますが、彼らのソロが耳に入らないほどchambersが目茶苦茶に美しいラインを紡いでいます。溢れんばかりの想像力で、力強く劇的なラインをぐんぐんと推進していく。聴いていていつもはっ、息を呑む箇所です。chambersでどの演奏が好きか…というのはファンの数だけある、といっても過言でないほど名演/好演の多い人ですが、私にとってのchambersはcoltraneの“traneing in”とこれです。