様々な方向性のサウンドに果敢に挑戦、新作をリリースする度に多くの話題を振りまいてきたこれまでのボウイ。
但し、本作からの3作、所謂「ベルリン・トリロジー」と称されるこれらの作品については、それまでの比ではない論争を巻き起こしました。
その内容があまりにもエクスペリメンタルなものであり、世間一般の音楽ファンを完全に置き去りにするものであったからです。
分けてもその第1弾となった1977年リリースの本作については、当時のリスナー、ファンにかなりの衝撃を与えたものと思われます(と推測で書いているのは、リアルタイムの状況を僕自身体験していないから。この当時自分は小4で、未だ洋楽とは無縁の世界で生きていましたからw)。
制作の地、ドイツ産ユーロロックの影響を存分に受けて作り上げられた本作には、米ルーツ・ミュージックの要素が極限にまで削ぎ落とされ、アンビエントやテクノサウンドがこれでもかとばかりに注入されています。
この生音感に乏しい無機質な音像は、前2作で彼がやっていたことからすると全くの対極に位置するものであり、従来からの彼のリスナーを唖然とさせるには十分過ぎる展開であったことに間違いはないでしょう。
そして、本作におけるそうした方向転換に大きく寄与したのが、言うまでもなく元ロキシー・ミュージックのメンバーであり後の名プロデューサーであるブライアン・イーノ。
彼の存在なくして、ベルリン3部作は語れません。
本作の制作に携わるまでの間、イーノはロバート・フリップなんかとも共同制作を行っていたことからも分かる通り、現代音楽の進化形の創造という部分に拘りを持って活動を続けていたと思われます。
それは、70年代半ばを以てほぼその役割を終えたプログレとは異なる次元でのポップ/ロックの進化を模索する、ということです。
それを行うためのうってつけのパートナー、それこそがボウイであったという訳です。
ボウイにとっても、前作以降の音的方向性を確立する目的のためにも彼との共同制作には極めて意義深いものがあり、ここにおいてこの両者によるウィンウィンな関係性は鉄壁のものになった、ということです。
そしてこの二人に加えてかねてよりの既知であるトニー・ヴィスコンティを招き入れ、ここにボウイの全キャリアを代表するロック史上に残る名盤が出来上がったという訳です。
作品の内容としては、先述の通りテクノロジーとアンビエントの導入が非常に目立つものとなっています。
前半はニューウェイヴ/ポスト・パンクを彷彿とさせる軽めのポップ・ロックが中心となっていますが、ドラム・サウンドに機械的なエフェクトが施されていたりと、極めてエレクトロな印象をもたらします。
方向性としては、「黎明期のテクノポップ」とでも呼べそうな作風になっていると言っていいでしょう。
後半はイーノの色が前面に押し出されたアンビエントなインスト作品となっていて、本作の大きな聴き処となっています。
・・・暗く淀んだ灰色の空をイメージさせられるその音像は、まさしく当時の分断されたドイツを連想させられます。
共産主義による圧政、自由を奪われ家畜のように暮らす、東ドイツの人々の無気力な心情を表現しているように、僕には映ります。
しかしながら、この音楽は得も言われぬ恍惚感をも同時にもたらすものでもあり、その辺りに類まれなる奥深さを感じさせられたりもしますよね。
何れにせよ、本作がロックシーン全体に与えた影響力と言うものには計り知れないものがあり、そういう意味では、本作が『ZIGGY』と双璧を成す最重要作であるという捉え方に疑念を差し挟む余地は無いと言って間違いはないでしょう。
これまた、全てのロック・フリークが絶対に避けて通ることの出来ないマイル・ストーンです。
Low
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曲目リスト
1 | Speed Of Life (1999 Digital Remaster) |
2 | Breaking Glass (1999 Digital Remaster) |
3 | What In The World (1999 Digital Remaster) |
4 | Sound And Vision (1999 Digital Remaster) |
5 | Always Crashing In The Same Car (1999 Digital Remaster) |
6 | Be My Wife (1999 Digital Remaster) |
7 | A New Career In A New Town (1999 Digital Remaster) |
8 | Warszawa (1999 Digital Remaster) |
9 | Art Decade (1999 Digital Remaster) |
10 | Weeping Wall (Instrumental) (1999 Digital Remaster) |
11 | Subterraneans (1999 Digital Remaster) |
商品の説明
Amazonレビュー
アメリカでの生活に疲れたボウイは1976年ヨーロッパに帰還、マスコミを遠ざけるように壁の街ベルリンのスタジオにブライアン・イーノと共に閉じこもり、エキセントリックな傑作となるこのアルバムを製作した。ジャーマン・テクノ的なシンセサイザーを多用したサウンドが荒涼とした冷たく暗い雰囲気を作り出す独特の雰囲気の作品になった。アルバム前半においても詩は極力シンプルで少ないが、<8>以降は言葉さえ存在しないインストに突入。無国籍的というか異次元的でさえある圧倒的な世界が展開される。(麻路 稔)
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 製品サイズ : 17.5 x 12.7 x 0.99 cm; 100.07 g
- メーカー : Virgin Records Us
- EAN : 0724352190706
- 商品モデル番号 : 2126387
- 時間 : 38 分
- SPARSコード : DDD
- レーベル : Virgin Records Us
- ASIN : B00001OH7W
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 182,302位ミュージック (ミュージックの売れ筋ランキングを見る)
- - 2,942位スポーツ・カルチャー
- - 12,370位ポップス (ミュージック)
- - 34,777位ロック (ミュージック)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ボウィはジャケットた゜けでも魅力的ですが この作品はそれ以上 楽曲すべてがかっこいい....
2015年12月6日に日本でレビュー済み
今聞き返すと、東西冷戦構造下のヨーロッパ世界を音楽化したような作品のように感じる。
もちろん、緊張状態にあった当時のベルリン録音というのが前提にあるのだけど。
A面とB面の光と影のようなコンストラストが、そのまま現実の西側世界と東側世界の対比を示し、ボウイとイーノによる「音の箱庭」とでも言う仮想空間になっていて。
A面が西側(自由主義陣営)、B面が東側(共産主義陣営)という感じ。
「ワルシャワ」なんて曲もあるし。
とにかく密度の濃いアルバム。
クラウト・ロックから吸収した電子音楽や現代音楽の手法を、見事に上記のコンセプトに織り込んでいる。
B面のインスト中心のサウンドスケープはやはり凄い。
ボウイが良いのは、ただ音響の垂れ流しにはせず、ちゃんと一曲一曲に意味があり、啓蒙性がある点。
インストであっても、何かを訴えるに値する足る重みをちゃんと持っている。
似たようなアレンジの楽曲でも詰め込まれた情報量が多い、とでも言うべきか。
「Weeping Wall」の薄気味悪さなど、この人じゃないと出せないだろう。
その背後にある、歴史性や社会批評的な視点が透けて見える。
もちろん、緊張状態にあった当時のベルリン録音というのが前提にあるのだけど。
A面とB面の光と影のようなコンストラストが、そのまま現実の西側世界と東側世界の対比を示し、ボウイとイーノによる「音の箱庭」とでも言う仮想空間になっていて。
A面が西側(自由主義陣営)、B面が東側(共産主義陣営)という感じ。
「ワルシャワ」なんて曲もあるし。
とにかく密度の濃いアルバム。
クラウト・ロックから吸収した電子音楽や現代音楽の手法を、見事に上記のコンセプトに織り込んでいる。
B面のインスト中心のサウンドスケープはやはり凄い。
ボウイが良いのは、ただ音響の垂れ流しにはせず、ちゃんと一曲一曲に意味があり、啓蒙性がある点。
インストであっても、何かを訴えるに値する足る重みをちゃんと持っている。
似たようなアレンジの楽曲でも詰め込まれた情報量が多い、とでも言うべきか。
「Weeping Wall」の薄気味悪さなど、この人じゃないと出せないだろう。
その背後にある、歴史性や社会批評的な視点が透けて見える。
2013年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そんなに名盤とは思わないですね。第一歌ってないもんね。契約消化のための録音だったようですから今一つ身が入っていないですよ。イーノ主体の陰鬱で退廃したシンセに意外性を見ただけのことでは?このようなスキームでのベルリン3部作としたらHeroesのほうがまだマシでしたかね。ボウイのキャリアの中では傑作という作品は数多いが、どれが一番かと熟慮したら本作は選ばれませんよ必ず。
2011年9月4日に日本でレビュー済み
B面の衝撃は忘れられません。これを聴いた中学生は高校行く気がなくなります。当時、Subterraneansはヘッドフォンで何度も何度も繰り返して聞いてました。あらためて考えるとLOWってタイトルも凄い。落ち込みますね。Tangerine DreamのPhaedraとか、KraftwerkのMan MachineみたいなGerman Rockとして聴いていました。プログレです。
このB面の世界はBowieの個性のLowな部分を凝縮したエッセンスで、次作HeroesのB面でも同じことにトライして失敗してます。というか、こんなの持続できない。あまりにも短命で、まさにこの瞬間だけのピークでした。故に、美しい。
しかし今聴くと、A面のカッコよさが響きます。Sound And VisonやBe My Wifeは実は美メロなPOPチューン、Breaking GlassはIggy Popが歌ってもかっこいいパンクロックだし、Always Crashingのクレイジーさは完全に麻薬的です。こっちのほうがBowieの本質のように聞こえるけれども、そう聴かせるための演出がB面の世界なのかも。CDでは無理ですが、先にB面聴いてからA面聴くと、印象が変わります。社会復帰できそうな気がする。
Diamond DogsのGramm、Young AmericansのSoul、Station To StationのHard Rock、全部総決算してテクノプログレにまとめ上げた傑作だと思います。どこまで本気なのかわからないところ、どこまでも深読みさせるところ、それを遠くからニヤリと眺めているようなところが、このころのBowieの最大の魅力です。ホント、宇宙人みたい。
このB面の世界はBowieの個性のLowな部分を凝縮したエッセンスで、次作HeroesのB面でも同じことにトライして失敗してます。というか、こんなの持続できない。あまりにも短命で、まさにこの瞬間だけのピークでした。故に、美しい。
しかし今聴くと、A面のカッコよさが響きます。Sound And VisonやBe My Wifeは実は美メロなPOPチューン、Breaking GlassはIggy Popが歌ってもかっこいいパンクロックだし、Always Crashingのクレイジーさは完全に麻薬的です。こっちのほうがBowieの本質のように聞こえるけれども、そう聴かせるための演出がB面の世界なのかも。CDでは無理ですが、先にB面聴いてからA面聴くと、印象が変わります。社会復帰できそうな気がする。
Diamond DogsのGramm、Young AmericansのSoul、Station To StationのHard Rock、全部総決算してテクノプログレにまとめ上げた傑作だと思います。どこまで本気なのかわからないところ、どこまでも深読みさせるところ、それを遠くからニヤリと眺めているようなところが、このころのBowieの最大の魅力です。ホント、宇宙人みたい。
2009年3月30日に日本でレビュー済み
まだロックを聴き始めて間もない頃にこのアルバムに出会いました。
まだ子供だった事もあって、色々な意味でカルチャーショックを受けましたね。
シンガーのアルバムなのに1曲目からインストルメンタルだわ、B面は丸々環境音楽風
だわ、ヴォーカルを含む曲が比較的多い前半も、聴いた事のないような音が次々と出て
きます(Sound and Visionではスピーカーの片チャンネルが壊れたのかと思った)。
商業音楽に対する固定概念を完全に破壊されてしまいました(笑)。
特筆すべきは異常なまでの吸引力を持つサウンド。毎日のように、学校から帰った後
繰り返し聴きまくっていたのを思い出します。
音楽的に後進のミュージシャンやバンドに多大な影響を与えたアルバムと思いますし、
その結果多くの素晴らしいアルバムが生まれましたが、この点でこのアルバムを超える
ものは無いと思っています。
万人に無条件でお勧めできるものではありませんが、ボウイの音楽を聴く上で避けて
通れないアルバムです。
まだ子供だった事もあって、色々な意味でカルチャーショックを受けましたね。
シンガーのアルバムなのに1曲目からインストルメンタルだわ、B面は丸々環境音楽風
だわ、ヴォーカルを含む曲が比較的多い前半も、聴いた事のないような音が次々と出て
きます(Sound and Visionではスピーカーの片チャンネルが壊れたのかと思った)。
商業音楽に対する固定概念を完全に破壊されてしまいました(笑)。
特筆すべきは異常なまでの吸引力を持つサウンド。毎日のように、学校から帰った後
繰り返し聴きまくっていたのを思い出します。
音楽的に後進のミュージシャンやバンドに多大な影響を与えたアルバムと思いますし、
その結果多くの素晴らしいアルバムが生まれましたが、この点でこのアルバムを超える
ものは無いと思っています。
万人に無条件でお勧めできるものではありませんが、ボウイの音楽を聴く上で避けて
通れないアルバムです。
2014年4月16日に日本でレビュー済み
この人をあまり知らないでこのアルバムから聞くと危険です。
人それぞれ、イメージを持つとおもいますが、まずは、この世界にどっぷりつかってください。
きっとどこかの星に連れていかれて
あなたは二度と地球に戻ってこれないかもしれません
本当に素晴らしい
人それぞれ、イメージを持つとおもいますが、まずは、この世界にどっぷりつかってください。
きっとどこかの星に連れていかれて
あなたは二度と地球に戻ってこれないかもしれません
本当に素晴らしい
2015年10月14日に日本でレビュー済み
今から、およそ34年前(^^)高校2年の時、初めて買ったbowieのアルバムが、このlowでした。それまでbowieのようなタイプは聴いた事が無かったので、当時とすればかなり冒険だったと思いますが、これが、ズッポリとツボにハマりまして(笑)今日に至っています。最近のニュースではツアー引退?のようですが、寂しい限りですね(>_<)なんだか、作品レヴューというよりも、50を過ぎたおっさんの思い出話になってしまい、すいません。これからbowieを!という方には是非、このlowから聴いてみて下さい!数あるbowieのアルバムの中でもトップクラスのアルバムです!
他の国からのトップレビュー
D. Pankratz
5つ星のうち5.0
Great music, good condition, easy transaction.
2024年4月27日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Thank you!
Amazon Customer
5つ星のうち5.0
Low cd
2024年2月22日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Plays perfectly,case is good, thanks.
VHA
5つ星のうち5.0
Bowie
2017年8月19日にメキシコでレビュー済みAmazonで購入
Sin duda uno de los mejores discos de David Bowie. En realidad tengo poco escuchando la música de Bowie y este es uno de los discos que más me han impresionado. Se nota la influencia de Brian Eno. En cuanto al envío. No demoró casi nada y llegó antes de lo previsto. Me gusta comprar cosas en Amazon porque no tienes incremento de precios y lo que pides te llega en poco tiempo. Los precios son accesibles, tratándose de un disco importado. Me saldría más costoso comprar un disco en otro lugar, ya que vivo en provincia. Recomendando 100%
Juan J
5つ星のうち5.0
Obra maestra indiscutible, adelantado a su tiempo.
2019年6月21日にスペインでレビュー済みAmazonで購入
Low es el pináculo de su período de experimentación / post-punk y la mejor entrada en su "Trilogía de Berlín".
El productor Tony Visconti realizó algunos trucos de magia para crear un sonido impactante y cavernoso que nunca se ha duplicado.
Lo que también vale la pena mencionar es la gran cantidad de instrumentación electrónica, la mayor parte manejada por Brian Eno. Aquí es donde surge la característica más notable de Low : hay una gran división estilística entre los dos lados del álbum. El primero está ocupado únicamente por material orientado al pop. El segundo lado, sin embargo, utiliza estos instrumentos electrónicos para hacer material ambiental.
"Sound and Vision" es una obra maestra del pop, divertido y memorable. "Warszawa" es otro clásico de David Bowie inspirada en la desolada ciudad de Varsovia, que atravesó en 1973 y 1976.
El productor Tony Visconti realizó algunos trucos de magia para crear un sonido impactante y cavernoso que nunca se ha duplicado.
Lo que también vale la pena mencionar es la gran cantidad de instrumentación electrónica, la mayor parte manejada por Brian Eno. Aquí es donde surge la característica más notable de Low : hay una gran división estilística entre los dos lados del álbum. El primero está ocupado únicamente por material orientado al pop. El segundo lado, sin embargo, utiliza estos instrumentos electrónicos para hacer material ambiental.
"Sound and Vision" es una obra maestra del pop, divertido y memorable. "Warszawa" es otro clásico de David Bowie inspirada en la desolada ciudad de Varsovia, que atravesó en 1973 y 1976.
Client d'Amazon
5つ星のうち5.0
Correspond parfaitement à la description
2017年4月28日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
Vinyl d'occasion qui correspond parfaitement à la description et à mes attentes.
Pochette en bon état et son qui correspond à ce qu'on attend d'un vinyl de 77 bien entretenu.
Colis soigné.
Pochette en bon état et son qui correspond à ce qu'on attend d'un vinyl de 77 bien entretenu.
Colis soigné.