自分はいわばワグネリアンではないが、一通りのオーケストラの
曲を聴いてきた。しかしこの演奏には素直に感動できた。
ワーグナーの曲はオーケストラでしか表現できない!と大抵の
人は思うが、実はそうではない。シンプルにかつ鮮やかな技巧で
演奏すると、立派にひとつのピアノ曲として成立すると思う。
この演奏は、それを見事にやってのけている。
「ニュンベルグのマイスタージンガー」前奏曲のリズミカルな
感じも印象に残ったが、特に頑張っているのが、「ジークフリート
牧歌」。これをピアノで演奏するなんて!と思ったが、いざ聞いた
後で、オーケストラの曲を聞くと、あまりに豊かな響きで逆に違和感
を感じた。
このCDに収められている演奏は、単刀直入にワーグナーと演奏家の
思いも感じる演奏なので、ワーグナーは合わないと思う人に是非
聴いてほしいと思った。ただこの演奏にはまると、オーケストラの
方はまったく聴かなくなるかもしれないが。。。