1992年、オスロ録音
一度見たら忘れられないジャケット・デザイン+写真。
ECMのアート・ワークには、どこか催淫的なものがあり、何も考えずにふらふらと近寄って、
うっかりポチってしまいそうになる。
これはピーター・アースキンのリーダー作だが、メインとなっているのはジョン・テイラーの
思索的でリリカルなピアノ。P・アースキンというと、ウェザーリポートのドラマーという
ポジションがすぐに浮かんでくる。ライブ・アルバム『8:30』でも、ドカドカ叩きまくっていた。
しかしここでは繊細なシンバル・ワークが中心で、4ビートを刻むこともない。空間をひそかに
うめていくスタイル。
ジョン・テイラーの曲が4曲、ヴィンス・メンドーサ(彼はアースキンの大学院の教え子)の曲が
4曲、アースキンの曲が1曲あって、ラストはコール・ポーター。
こういう殺菌されたような音楽は、どこで流れていたら心地よく聴こえるのだろうか。カフェでも
服のショップでも、インテリア関連でも花屋でも病院でも、味気なく響くだろう。オスロの空港の
通路なら、ハマるかもしれない。
このメンバーでのECMアルバムは4枚あって、それらをまとめたボックス・セット(「オールド・
アンド・ニュー・マスターズ・シリーズ」もある。これら4枚のアルバム・タイトルは、収録曲から
つけているのではなく、アルバム全体の印象を一言でいっている。