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カーラ・ブレイはジャズ界きっての才女であり女傑。ピアニストとしてよりも、むしろコンポーザー、アレンジャー、オーガナイザーとしての活躍が目ざましい。1960年代のカーラはフリージャズ・シーンに咲いた一輪の花といった感じだったが、その後1970年代になるとリチャード・ティーやスティーヴ・ガッドといった「スタッフ」のメンバーを加えて録音を行なうなど、新たな展開を開始した。『I Hate to Sing』、『Heavy Heart』、本作はそうした時代の代表傑作だ。なかでもサンフランシスコのグレート・アメリカン・ミュージック・ホールにおける1981年のライヴ盤である本作には、華麗な変身を遂げたカーラの魅力が凝縮している。
デュオやトリオでも活動するカーラだが、作編曲面の手腕を発揮するには編成は大きいほうがいいようだ。ここではホーン6本を含む大型コンボを率い、聴きやすく、中身の濃い音楽をクリエイトしている。これがフリージャズの範ちゅうに入るかどうかは定かではないが、その精神は100パーセント、フリーである。(市川正二)