長きに亘り、これほど飽きさせない作品はめったにあるものではない。
捨て曲無し、色々な曲想が音の万華鏡を構築し、深みを感じさせる名盤である。
まずギターの様々な音質が芳醇で暖かくふくよかで熟成している。
スカッと爽やかな炭酸飲料ばかり飲んできた音楽ファンは、たぶん吐き出すだろうが・・・・・
口当たりよく化学調味料で即席に作った音楽が氾濫する80年代以降から現在の音楽シーンの中で、
ここにある音は、真面目に丹精をこめて、また情念を注ぎ込み生命力が溢れ枯れることがない音塊だろう。
噛めばかむほどに何年にも亘り、深い味が染み出てくる本物の音がある。
フュージンスキーの出汁の取り方は、独自のもので企業秘密だろう。
金太郎あめのような、「音楽を忘れ気味 のテクニカルプレーヤー」は山ほど存在するが、
まあしかし!、ここでの音は、飽きることがない変化に富んだ熟成した音楽を構築していて、
曲想、音色、奏法、グルーヴ、微分音・・・どこを切っても同じ金太郎は出てこない。
私的には、西洋からアフリカ大陸への入り口であるモロッコへ思いを馳せ、
スペインからジブラルタル海峡上空を飛翔し、アフリカ大陸の生命力あふれる鼓動に融合し完結する6曲目、
そして、その余韻に浸り、音程を自在に操るジャズパンクバラードの7曲目が印象的で、至福の時間を満喫できます。
世界屈指のアーティストだと思う!