70年発表の2nd。前作発表後、ミュージック・ファクトリーからデラムに移籍して発表された作品。ジェシ・ローデンが脱退して新たにロバート・パーマー(vo) が参加している。ちなみにパーマーは後にヴィネガー・ジョーを経てソロで大成功を収めるあの人である。
1.はアラン・ボウン・セット時代や前作のサイケ・ポップ調の明るい雰囲気を完全に払拭した哀感を感じさせるR&B/ソウル路線の曲で、かなりの名曲に仕上がっている。2.もピアノのバッキングをベースにした佳曲で、ソウル風味ながら典型的なブリティッシュ・ポップに仕上がっており、かつての面影はほとんどない。この曲のエンディングで始めてサックスのソロが入ってくるが、重圧な弦との組み合わせはなかなか味わい深い。3.のイントロで初めてトランペットが登場し、バッキングでもその演奏が聞かれるが、楽曲そのものはあの時代のニュー・ソウルとも言うべき仕上がり。しかしながらこれがかなり良い曲で、パーマーのイメージにも見事に合致している。時折登場する弦もブラスと融合されて素晴しい効果を上げている。4.は極上のソウル・バラード。シンプルだが美しいピアノも聞き物。
全てに音楽ファンにお薦め出来る極上の作品と言えるが、特にこの時代のニュー・ソウルが好きな人には必聴盤。ブラスが後退し前身だったアラン・ボウン・セットのイメージも、前作で聴かせたサイケ・ポップ的な要素はほぼないが、短期間にここまで円熟を感じさせる演奏/楽曲に変化するのは驚きを隠し得ない。