75年の3rd。前作発表後、ピート・ソリーが脱退し、ティム・ヒンクレー(p、org)、ブライアン・チャットン(k) を迎えてツイン・キーボードの6人組(ソリーが参加したプロコル・ハルムと同じ編成)となって制作されているが、本作がスナフのラスト・アルバムとなった。
1.は反復リフをベースにした骨太のファンク・チューン。重さやリズムの独特ハネ具合など演奏そのものも極上だが、ポール・ウィリアムスを超えたのでは?と思わせるほど素晴しい喉を聞かせるハリスンのヴォーカルが素晴しい。このシャウトは近年のヘヴィメタ系では絶対に出せない味であり、スナフーにおいてのハリスンの一番の歌唱と断言したい。新加入のメンバーによるピアノ・ソロも最高である。2.もファンクをベースにしたブルース・ロックで、カヴァディル時代のパープルを思わせる仕上がり。こちらもシャウトを交えたハリスンのヴォーカルは素晴しく、ポール・ロジャースや先のカヴァディルを思わせる。ブルージーなエレピのソロもクールでカッコ良くそれに続く激重のスライドで大凡のロック・ファンは悶絶するだろう。3.はスライドが爆発するカントリーをハード・ロック化したかのような曲で、オールマン・ブラザーズあたりも思わせるのだが、雰囲気は完全に英国仕様。4.は西海岸風の明るい雰囲気も感じさせる曲で、ピアノとオルガンというツイン・キーボードを活かしている。ハリスンの吠えまくるヴオーカルを除けばフューイ&ルイスあたりにも通じるポップな仕上がりを見せており、十分にヒットする可能性があったはず。5.はピアノを中心にしたワルツ調のバラードで、バックにはホーンとオルガン、女性コーラスが加えられゴスペル風に料理されている。こちらもハリスンの名唱の一つだと思うが、カヴァディルにそっくりに聞こえる。
本作は結果的に後のホワイトスネイクの青写真になった作品だと思うが、売れ上げ以外ではそれに全く劣らない名盤である。前作までのカントリー/ブルー・グラスなどのアメリカン・ルーツ・ミュージック色は一気に後退しブラック・ミュージックとハード・ロック色を強めているのがポイント。楽曲/演奏共に素晴しいが、ハリスンの喉を聞くだけでも価値がある。ロック・ファン必聴の一枚だと思う。しかしなぜこれで売れない?
本作の後、ミッキー・ムーディはデヴィッド・カヴァディルのソロ〜ホワイトスネイク結成へ参画している。