やはり、一言。「素晴らしい」しかない。50年代、60年代にジャズやブルース、リズム&ブルースからあらゆるエキスを吸収して、ロックは過渡期を迎えた60年代後半から70年代初頭。この頃の音楽には、今こそ再認識されてしかるべき魅力的なミュージシャンがキラ星の如く溢れていたように思う。太く短く死に急いだジミヘンやジャニスは、残念にも「その先」がなかった。だが、今でも現役バリバリの60歳以上のベテラン達が少しも情熱や輝きを失わないのは、この時代に凌ぎを削り合った肥やしを蓄えていたからこそだとも最近、思う。
このバンドも短命に終わったが、各メンバーのその後の作品に触れれば、いかに凄いバンドだったか納得。時代の潮流をなぞっただけのサウンドには時代の古さを感じさせるものが多いが、このアルバムは、現在、初めて聴いたなら「新作」に思えるくらいに魅力でいっぱいだ。メロディー、アレンジ、演奏力のバランス。若く荒削りな勢いもいい方に作用し、何十年振りに聴いて改めて感動した。このような地味で貴重な作品を発売してくれたことに感謝したい。この作品も数多ある「名盤」のごく一部にすぎないだろう。