ここにも、“本気”の人たちがいた!しかも、彼らは“コピー・バンドで終わるのはイヤだ”という強い意志も持っていた。彼らのファースト・アルバムのタイトルはBEAT MUSIC。これは、XTCがブラック・ミュージックに対抗するようにWHITE MUSICでデビューしたのと同じくらい、ある意味ストレートな標題だ。これは4作目。
彼らのサウンドは、このアルバムでしか知らない。しかし、それで十分なような気もする。彼らがやりたいことはここに詰まっていると思うからだ。それは、64年に英国からやって来たビート・バンドたちのサウンドを今の音として蘇生させること。コピー・バンドからはじめてここまで自分たちのサウンドとして高めることができたことだけで感動してしまうが、一番のポイントは、演奏のシャープさに加えて、そのヴォーカルの切れ味にあると思われる。声もいい。甘酸っぱい歌詞も考え抜かれた押韻の魅力にあふれている。好きで好きでたまらない思いがニセモノ臭さの入り込む余地を一切与えないのだ。
これらは、研究の成果ともいえるが、体に染みこんだものが滲みだして出来上がっているナチュラルさがある。いわば、コピー・バンドの不自由さがないのだ。何かに寄り添って出している音ではない。自分たちに染みこんだ音楽への信頼感があふれているだけなのだ。願わくば、64年のブリティッシュ・インヴェイションのバンドの一つに加わりたいという野望がビシビシ伝わってくる張りのある演奏ぶりが爽快だ。