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高中正義は70年代初頭から、ロックやJ-POPシーンで活動してきたギタリスト。サディスティック・ミカ・バンドを経て、70年代半ば頃からフュージョン・ギタリストとして注目されるようになった。といっても、当時はまだフュージョンという言葉はなかったし、カシオペアやスクェアもデビュー前だったから、新種のギター・インストゥルメンタルと受け止められた。当時のイメージは、たしか、夏向きの爽やかなギターというものだったように思う。
本作は79年にキティ・レコードから発表した作品で、やはりそうした感触が強く感じられるサウンドだ。代表曲としてあまりにも有名な<1 >「ブルー・ラグーン」が冒頭に入っていることもあって、インパクト十分。フュージョン・ギタリストとしての高中を聴くなら、真っ先に求めるべきアルバムだろう。曲はオリジナル中心だが、<5 >「タジ・マハール」はジョルジ・ベンのナンバー。夏のムード一色のなか、<7 >「パラレル・ターン」はなぜかスキーをテーマにした冬の曲で、ヴォーカルまで披露する。サンタナふう泣きのギターが心にしみる<8 >「レイニー・デイ・ブルー」もいい。(市川正二)